ChatGPTで法人契約できるプランとは？メリットや注意点・導入企業事例も紹介！

生成AIが世の中に広まるにつれ、ChatGPTを自社にも導入した方が良いとはわかっていても、以下のような悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

「ChatGPTを導入して業務効率を上げたいけど、セキュリティは大丈夫か」

「法人契約の場合、どのプランを選べばいいか分からない」

限られた経営資源で競争力を高めるために、AI活用に注目する企業の担当者様は多いかもしれません。

本記事では、ChatGPTの法人契約について、以下の点を詳しく解説します。

ぜひこの記事を参考に、貴社に最適なChatGPTの導入を検討し、業務効率化やコスト削減を実現していただけますと幸いです。

ChatGPTの法人契約できるプランとは？

企業が業務効率化や生産性向上を図るためにChatGPTを導入する場合は、法人向けの専用プランを活用するのが良いでしょう。ChatGPTは、文章生成、要約、翻訳、議事録作成、コード支援など多用途に対応できる生成AIとして、ビジネス現場でも注目を集めています。

ただし、企業でChatGPTを利用する際には、個人アカウントと異なり、情報セキュリティの確保やユーザーごとのアクセス管理、機能ごとの利用制限といった企業特有の要件に対応する必要があります。

法人ニーズに応える形で、OpenAIではセキュリティ強化と管理機能を備えたChatGPTの法人向けプランを用意しているのはご存じでしょうか。具体的には、ChatGPT TeamやChatGPT Enterpriseといったプランがあり、従業員の利用を統一的に管理しながら、業務効率を高める運用が可能です。

限られたリソースの中で競争力を維持・強化したい企業にとって、法人契約によるChatGPT導入は、戦略的な選択肢の一つとなるでしょう。

ChatGPT法人プランの料金や特徴

ここでは、ChatGPT法人プランの料金や特徴を解説します。

プラン名	主な対象	月額料金（目安）	利用人数	特徴的な機能など
ChatGPT Team	中小企業・チーム利用	$30/人（月払い）$25/人（年払い）	2名以上	共有ワークスペース、モデル学習オプトアウト、混雑時の優先アクセス
ChatGPT Enterprise	大企業・機密情報を扱う組織	要問い合わせ	制限なし	提供されたデータは学習に使用されない、SSO・監査ログ・SOC2準拠

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ChatGPT Team

小規模チームでの業務効率化を目的とする場合は、ChatGPT Teamが適しています。2名以上で利用できるこのプランでは、チーム全員が同じワークスペースを共有できるため、議事録の自動生成やブレストの効率化、情報共有の一元管理が実現します。

さらに、ユーザーの入力データがAIモデルの再学習に使われない仕様となっており、機密情報を含む業務でも安心して活用可能です。GPT-4oの高速応答や、混雑時にもスムーズに使える優先アクセス権も付与されており、日常業務の中でストレスなく活用できます。

料金は、月払いで1ユーザーあたり月額30ドル、年払いでは月額25ドルに抑えられており、スモールスタートに適した柔軟な料金設計が特徴です。

ChatGPT Enterprise

セキュリティ要件が高く、全社レベルでの導入を検討する企業には、ChatGPT Enterpriseが最適です。このプランは、企業ごとのニーズに応じたカスタマイズが可能で、導入費用もOpenAIに直接問い合わせて見積もる形式となっています。

Enterpriseプランでは、GPT-4を回数制限なく利用可能なだけでなく、データ分析機能「Advanced Data Analysis（旧Code Interpreter）」への完全アクセス、SAMLベースのシングルサインオン（SSO）、利用状況の可視化が可能な監査ログ機能など、大企業向けの機能が揃っています。

また、SOC 2準拠のセキュリティ基準に基づき、データは保存時・送信時の両方で暗号化される設計となっており、法務・人事・財務などの機密業務でも安心して導入できます。OpenAIの専任サポートを受けながら、業務ごとの最適化や社内教育まで包括的に対応できる点も大きな魅力です。

ChatGPTを法人契約する以外の方法

ここでは、ChatGPTを法人契約する以外の方法を3つ紹介します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

各社が提供する法人向けChatGPTサービスを活用する

すぐにChatGPTを業務利用したい企業にとっては、各社が提供する法人向けChatGPTサービスの活用が手軽な選択肢と言えるでしょう。法人向けChatGPTサービスは、OpenAIの技術をベースにしつつ、企業利用に求められるセキュリティ基準や管理機能を加えた形でサービス提供されています。

多くのサービスでは、入力データがAIモデルの学習に利用されない設計が採用されており、機密情報の保護が強化されています。また、日本企業が提供している場合、日本語での問い合わせ対応、国内法令への準拠、国内サーバーでのデータ管理といった安心材料がそろっており、社内導入もスムーズです。

開発リソースが限られている中小企業や、短期間で生成AIを導入したい部署に適しているでしょう。

ChatGPTのAPIを使って自社でシステム開発を行う

業務フローに合わせた柔軟なカスタマイズを求める企業には、ChatGPTのAPIを使って自社でシステム開発をする方法がおすすめです。OpenAIが提供するAPIを活用すれば、自社の既存システムや業務アプリケーションに自然言語処理の機能を組み込めます。

たとえば、社内FAQに対応するチャットボットの開発、業務報告の自動要約、定型業務の自動処理など、目的に応じた機能の設計が可能です。また、Azure OpenAI Serviceのようなクラウド基盤を利用すれば、セキュリティポリシーを担保しながらシステムを運用できます。

一方、API利用には開発スキル・設計能力・保守運用体制が求められるため、専門人材の確保や外部パートナーとの連携が必要になる点には注意しましょう。料金はトークン数（使用量）に応じた従量課金制が一般的です。

社員が個人で契約して会社が利用料を補助する

初期コストを抑えたい企業では、社員がChatGPT Plusを個別に契約し、会社が費用を補助する方法を検討するケースも考えられます。ただ、この方法は法人利用の観点からは推奨できません。

課題は、企業としてセキュリティやコンプライアンスを管理できない点です。個人アカウントでは、入力した内容がAIの学習に利用される設定がデフォルトで有効な場合があり、業務上の機密情報が意図せず外部へ拡散するリスクがあります。

さらに、利用状況を企業側が一元的に把握・制御するのが難しいため、社員間での使用方法のばらつきや、社内ガイドラインの未徹底といった問題も発生しやすくなるでしょう。

一見、低コストで導入できるように思えても、情報漏洩や規定違反といった重大リスクを抱える形となり、結果的にコストが高くなる可能性があります。

ChatGPT法人プランの始め方

ここでは、ChatGPT法人プランの始め方を紹介します。

それぞれのプランごとに詳しく解説します。

ChatGPT Teamの始め方

ChatGPT Teamプランは、導入が簡単でスモールスタートしやすい法人向けプランです。主に中小企業やプロジェクト単位の利用を想定しており、2名以上のチームであれば、Web上からすぐに申込が可能です。

導入手順は以下の通りです。

Teamプランは数分で利用を開始できるため、生成AI導入のファーストステップとして適しています。また、ユーザーデータが学習に使用されないプライバシー設計もデフォルトで有効化されているため、セキュリティ面でも安心です。

ChatGPT Teamに関しては、以下の記事でも解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

ChatGPT Enterpriseの始め方

ChatGPT Enterpriseは、セキュリティ性・拡張性・サポート体制を重視する大企業向けの法人プランです。このプランはWebからの即時契約ができないため、OpenAIとの個別契約が必要です。

導入までの流れは以下の通りです。

Enterpriseプランでは、独自の統合開発やセキュアなAI利用環境の構築が可能です。また、専任のカスタマーサクセスチームによる支援も受けられるため、全社導入や業務全体のDX推進にも適しています。

ChatGPT Enterpriseに関しては、以下の記事でも解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

ChatGPTを法人契約するメリット3選

ここでは、ChatGPTを法人契約するメリットを3つ紹介します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務をスピーディーに処理できる

ChatGPTを法人プランで利用すれば、業務の処理スピードが向上します。

具体的には、社内報のドラフト作成、議事録の要約、顧客対応用スクリプトの作成など、時間と手間がかかる業務も、AIの活用により時短できます。ルーティン作業の自動化によって人的負荷を軽減できるため、従業員は創造性や判断力を求められる業務に集中しやすくなるでしょう。

また、ChatGPTの法人プラン（Team／Enterprise）では、高速レスポンスや長文プロンプトの処理に対応しているため、作業全体の停滞を防げます。特に、複雑なレポートの構成案作成や商品比較のような大量情報の要約においてスピーディーに処理できる点が魅力です。

ChatGPTによる業務の効率化は、結果としてプロジェクト全体の進行スピードや納期の短縮にもつながります。

セキュリティ面に配慮された安全な利用環境を確保できる

法人契約により、セキュリティ強化されたChatGPT環境を利用できます。

一般向けの無料・有料プランと異なり、法人プランではユーザーが入力したデータがAIモデルの学習に使用されないという設定がデフォルトで適用されています。つまり、社内の機密情報や個人データの漏洩リスクを抑えた状態で運用が可能と言えるでしょう。

さらに、Enterpriseプランではデータの暗号化、シングルサインオン（SSO）、管理コンソールによる利用状況の可視化、アクセス権の制御などが標準でサービス提供されています。自社のセキュリティポリシーや業種ごとの法令対応にあわせた柔軟な運用ができる点も、企業導入における重要な判断材料になります。

国内ベンダーが提供するChatGPTベースの法人向けサービスであれば、日本語対応やサポート体制も安心材料の一つです。

人件費や外注コストの削減につながる

ChatGPTの法人利用は、業務効率化を通じて人件費や外注コストの削減に直結します。

定型業務の自動化により、これまで人手で対応していた作業をAIに任せれば、リソースを減らしつつ同じ成果を上げられるでしょう。

具体的には、カスタマーサポートの一次対応をAIチャットボットに代替すれば、対応件数にかかる人的コストを軽減できるほか、有人対応が必要な業務に人員の再配置が可能です。また、営業資料の作成やメール文面の作成、ブログ記事の構成案などもChatGPTがサポートできるため、ライティングやクリエイティブ業務を外注していた企業にとっては、外注費の削減にもつながります。

浮いたコストを新規事業や人材育成など、将来の成長戦略に再投資できる点も、ChatGPTを法人契約するメリットと言えるでしょう。

ChatGPTを法人契約する際の5つの注意点

ここでは、ChatGPTを法人契約する際の注意点を5つ紹介します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

生成される内容がハルシネーションする可能性がある

ChatGPTはもっともらしい文章を生成する一方、事実と異なる内容を含む場合があります。これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象で、AIが不正確な情報を自信ありげに出力してしまう問題です。特に、専門的な内容や最新の業界情報を扱う際には、古い情報や誤った解釈が混在するリスクがあります。

そのため、生成された内容は必ず事実確認して、信頼できる他の情報源と照合した上で業務に活用する必要があります。社内でコンテンツをチェックする体制や、重要情報を出力する前に人間が確認するワークフローの整備が欠かせません。

機密情報などの入力には慎重な管理が求められる

ChatGPTへの情報入力には十分な注意が必要です。特に、社内の機密情報や個人情報を入力する場合、情報漏洩リスクが懸念されます。個人契約のプランでは、入力内容がAIの学習データに使われる可能性があるため、業務での利用には積極的におすすめできません。

一方、TeamやEnterpriseなどの法人プランでは、入力データが学習に使われない仕様が初期設定されています。それでも、誤って機密性の高い内容を入力しないための社内ルールやガイドラインの整備が欠かせません。加えて、国内サーバーでの処理が保証されたサービスや、Azure OpenAI Serviceなどの環境を活用する選択肢も検討しましょう。

回答内容に偏りや不適切な表現が含まれるリスクがある

ChatGPTの出力は中立的であるとは限らず、学習元データの偏りに影響される場合があります。

その結果、特定の価値観に偏った表現や、不適切と捉えられる文言が生成される場合があります。特に、社外向けの資料や広報コンテンツに利用する場合、企業のブランド毀損や炎上リスクにつながる可能性があるので注意が必要です。

AIが生成した文面は事前に複数の担当者が確認し、コンテンツの適正性をチェックするフローを確立しておくのがおすすめです。さらに、企業ごとのコンテンツガイドラインや禁止ワードの定義、表現ルールの策定も検討すると良いでしょう。

社内での運用には一定の管理体制が求められる

ChatGPTを全社的に活用するには、運用体制と管理ルールの整備が欠かせません。利用開始後は、ユーザーアカウントの管理、アクセス制御、利用ログの把握などを通じて、利用状況の可視化・監視が求められるでしょう。

法人向けプランには管理コンソールやSSO（シングルサインオン）などの機能が用意されていますが、これらの機能を適切に運用するための体制が組織内に整っていなければ効果は発揮されません。

利用者の範囲や目的を明確にし、コストとリスクのバランスを取りながら活用する姿勢が注目されています。

ChatGPT導入後も継続的な社内教育が必要になる

ChatGPTを安全かつ効果的に活用するには、利用者への教育と継続的な情報共有が欠かせません。

導入時には、操作方法や活用方法だけでなく、ハルシネーションや情報漏洩などのリスクについても体系的に学ぶ機会を設ける必要があります。

また、AI技術は日々進化しているため、新機能の追加や変更点について、社内で定期的に勉強会やアップデート報告会を開催するのもおすすめです。利用者の理解度や活用スキルに応じた教育コンテンツを整備すれば、社内全体のAI活用リテラシーを底上げし、より高い業務成果につなげられるでしょう。

ChatGPT法人契約プランの企業導入事例5選

最後に、ChatGPT法人契約プランの企業導入事例を5社紹介します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

大日本印刷株式会社

大日本印刷（DNP）は、業務プロセスの最適化や開発効率向上、新規事業の創出を目的に、2025年2月に「ChatGPT Enterprise」を導入しました。

研究開発部門や新規事業開発部門を中心に活用を進め、新素材の探索、品質分析、特許調査といった高度な業務において成果を挙げています。部門ごとに業務に特化したAIエージェントを構築し、情報処理や推論支援を通じて作業時間を削減しつつ、業務品質の向上を実現しています。

将来的には、従来業務の50％以上の自動化を目指し、DXの基盤整備を推進しています。

参考：さらなるDXの推進に向けてOpenAI社のChatGPT Enterpriseを導入|ニュース

株式会社MIXI

株式会社MIXIは、生成AIの活用による生産性向上とイノベーション創出を目的に、2025年3月に全従業員を対象として「ChatGPT Enterprise」を導入しました。

ゲーム開発やサービス設計、ユーザーサポート、データ分析など幅広い分野で活用されており、業務スピードの向上と品質向上の両立を図っています。以前から社内AIツールの開発やChatGPT Plusの利用料補助を通じてAIの活用を推進しており、今回の導入はその延長線上として全社の活用体制を加速させるものです。

今後は、新サービス開発や既存業務の再構築において、AIを中心とした新たな価値創出を模索していく方針です。

参考：MIXI、ChatGPT Enterpriseを全従業員に導入

南海電気鉄道株式会社

南海電気鉄道は、データ分析業務の属人化解消と業務効率化を目的に「ChatGPT Team」を導入しました。

特定の担当者に依存していたデータ抽出や集計・分析作業を、非エンジニアの企画担当者でも扱えるよう支援する体制を構築。PoC（概念実証）を2か月実施した結果、作業時間の短縮と業務改善効果を確認し、本格導入を決定しました。

現在はデータ利活用チームを中心にAIを日常業務に活用し、100％の稼働率で継続的に活用中です。導入効果として、業務の属人性低減や対応速度の向上、業務精度の均質化が挙げられています。

参考：「ChatGPT Team」を駆使してデータ利活用を加速中！

SBIグループ（SBIホールディングス株式会社・株式会社SBI証券）

SBIグループは、グループ全体の業務効率化と情報活用高度化を目的に「ChatGPT Enterprise」を導入しました。

SBI証券では2025年1月から、SBIホールディングスでは同年3月から一部の役職員に導入を開始し、金融分野特有の専門的な文書要約や市場動向の分析、意思決定支援などで成果を上げています。経営陣もAIを積極的に活用しており、戦略立案や組織強化におけるスピードと精度の向上に寄与しています。

今後はAIを活用した新規ビジネス創出や金融サービスの再構築を視野に入れて、社内のAI利活用をさらに強化する予定です。

参考：SBIグループにおけるOpenAIの「ChatGPT Enterprise」導入開始のお知らせ

楽天グループ株式会社

楽天グループは、大規模な社内データと生成AI技術を組み合わせ、業務の最適化と顧客体験の向上を目指しています。

GPT-3.5以降のAPIを活用した独自の社内チャットボットを構築し、RAG（検索拡張生成）と連携させ、カスタマーサポートの応答精度とスピードを大幅に向上。加えて、商品レポート作成や社内データ分析支援にもAIを導入し、日常業務の自動化を推進しています。

全社的にAI活用の文化を根づかせる取り組みをしており、高度なセキュリティ対策とガバナンス体制の下で、業務全体の再構築を進めています。今後も「AIエンパワーメント企業」としての成長を目指す方針です。

参考：楽天がデータとAIを組み合わせ、顧客インサイトと価値を引き出す

ChatGPTの法人契約を検討して自社ビジネスを効率化させよう！

本記事では、ChatGPTの法人契約できるプランとしてTeamとEnterpriseを紹介し、料金や特徴、メリット、注意点、導入事例を解説しました。

業務効率化やコスト削減に役立つ一方で、情報の不正確性や機密情報漏洩のリスクといった注意点も存在します。適切な利用のためには対策が必要です。

適切なプラン選択と社内体制の整備により、ChatGPTは貴社の競争力向上に貢献する強力なツールとなり得ます。うまく活用して業務効率化につなげてみてください。