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プロンプトエンジニアリングとは?具体的な手法や代表的なプロンプトを紹介!

プロンプトエンジニアリングは、生成AIから理想的な回答を出力させるために、プロンプト(指示文)を設計・最適化する技術の総称です。ChatGPTなどの生成AIをより使いこなすために、プロンプトエンジニアリングを目指す方も少なくありませんが、同時に以下の様な悩みを持つ方もいます。

「プロンプトエンジニアリングに必要なスキルは?」
「初心者でもなれる?」

そこで今回は、プロンプトエンジニアリングの概要やメリットを解説します。

【記事を読んで得られること】

  • プロンプトエンジニアリングの定義や役割
  • プロンプトエンジニアリングの構成要素や具体的な手法
  • プロンプトエンジニアリングを行ううえでの注意点

生成AI初心者でも今すぐコピペして使える実例も紹介しているので、ぜひ活用してみてください。

目次

プロンプトエンジニアリングとは?合わせて知っておくべき用語も解説 

まずは、プロンプトエンジニアリングの概要や役割について見ていきましょう。

プロンプトエンジニアリングの概要
  • プロンプトエンジニアリングとは何か
  • プロンプトエンジニアリングの主な役割とは何か
  • プロンプトエンジニアリングと合わせて知っておくべき用語

基礎知識を把握するためにも、ぜひ参考にしてください。

プロンプトエンジニアリングとは

プロンプトエンジニアリングとは、生成AIやチャットボットなどの対話型AIに対して、効果的な質問や指示(プロンプト)を与えて理想的な回答を引き出すための技術です。

自然言語の構造や文脈を正しく踏まえながら設計するスキルが必要で、入力する内容のわずかな違いが、アウトプットに大きな影響を与える特徴があるため、ビジネスや研究の現場でもニーズが高まっている分野となります。

実際に、プロンプトエンジニアリングを募集する企業も多いので、一から勉強して習得する価値は十分あるのではないでしょうか。

プロンプトエンジニアリングの主な役割

プロンプトエンジニアリングの主な役割は、AIに提供する指示や文章を整理し、モデルが理解しやすい形に整えることです。

自身がチャレンジする際は、誤情報や無関係な回答を減らし、より的確な生成結果を生み出すために、目的や条件を明確に定義すると良いでしょう。また、ユーザーの視点を取り入れたプロンプト設計によって、対話のスムーズさや精度を向上させる狙いもあり、この点が市場で重宝される要素とも言えます。

また、企業でエンジニアリングを行う場合は、業務の課題、顧客ニーズなどに適したプロンプトを作ることで、より生成AIの性能を引き出せるはずです。

プロンプトエンジニアリングと合わせて知っておくべき用語

プロンプトエンジニアリングを行ううえでは、「LLM(Large Language Model)」や「トークン」、「コンテキスト」などの用語も押さえておきたいところです。

LLMは膨大なテキストデータで学習したAIモデルを指し、トークンは文を解析する最小単位、言い換えれば文字数を意味します。コンテキストは、前後の文脈情報を与えることで回答精度を高める要素です

さらに、既存のモデルを特定の用途に合わせて上書き学習させる「ファインチューニング」も押さえておきましょう。これらを総合的に把握しておくことで、プロンプトエンジニアリングが学びやすくなり、精度も向上させられます。

なお、ファインチューニングに関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひチェックしてください。

関連記事:ChatGPTのファインチューニングとは?概要や手順・導入するメリット・デメリットについても解説

プロンプトエンジニアリングを行うメリット

プロンプトエンジニアリングには、以下のようなメリットがあります。

プロンプトエンジニアリングを行うメリット
  • 生成AIによる回答の精度を向上させられる
  • 生成AIを自分好みに育ててコントロールしやすくなる
  • 問題解決へ向けた作業のスピードを向上させられる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

生成AIによる回答の精度を向上させられる

プロンプトエンジニアリングは、生成AIにとってわかりやすくユーザーニーズも汲んだ指示文が作れるので、回答精度を大幅に向上させられます。

また、生成AIはあくまで与えられた指示に従っているに過ぎないため、実際にチャレンジする際は、曖昧な表現を削ぎ落としていくと良いでしょう。精度が高まるだけでなく、不要な情報を無くせばより手戻りを減らせるため、業務効率も向上させられます。

生成AIを自分好みに育ててコントロールしやすくなる

プロンプトエンジニアリングを駆使すれば、生成AIの口調やキャラクターをある程度自分好みにカスタマイズできます。

たとえば、自社のブランドイメージや業務内容にマッチした回答が欲しい場合は、以下のように具体的な文脈や指示を与えてみてください。

「あなたは当社のカスタマーサポート担当です。回答の文体はビジネス敬語で、やわらかく丁寧な表現を心がけてください。次の問い合わせ(○○について教えてください)に対して、当社のブランドイメージに合った応対方法や具体的な解決策を提示してください。関連情報や注意点も簡潔に加えてください。」

そして、修正・追加の指示を段階的に行うことで、より好みの形に近づきやすくなります。一度で完結させるのではなく、少しずつ育てていくようなイメージを持ちましょう。

問題解決へ向けた作業のスピードを向上させられる

自社のニーズにマッチしたプロンプトを設計することで、適切な回答をスピーディーに得られるようになります。結果として試行錯誤する回数が減り、問題解決に要する時間を短縮できるでしょう。

また、必要性の高い回答を絞り込めるので、関連データや不足情報のリサーチも減少します。プロンプト自体を考える手間はありますが、運用後の効率を考えればその価値はあるのではないでしょうか。

プロンプトの主な構成要素

生成AIにおけるプロンプト(指示文)は、基本的に以下4つの要素で構成されています。

プロンプトの主な構成要素
  • Instruction(命令・指示)
  • Context(背景・文脈)
  • Input Data(入力)
  • Output Indicator(出力形式)

プロンプトエンジニアリングにおいては重要な知識となるため、ぜひ参考にしてください。

Instruction(命令・指示)

AIにどのような作業や回答を求めるかを明確化する要素です。具体的には、「○○について説明してください」「次の文章を要約しましょう」などのフレーズが該当します。

求めるアウトプットの方向性が曖昧だと、生成結果にブレが生じやすくなるため、短くても具体的な表現を使い、必要な指示を的確に示すようにしましょう。

Context(背景・文脈)

会話の前後関係や状況、目的、利用シーンなどの情報を指します。例としては、「私たちは住宅リフォーム会社で、ユーザーはリビングの改装案を求めています」などがわかりやすいかもしれません。

コンテキストがあると、AIが回答を生成するうえでの「誤解」を減らしやすくなり、しっかり背景を伝えることで、より適切に提案してもらえるようになるでしょう。

業務で利用する際は、ブランドイメージや顧客ニーズを意識した文脈も考えてみてください。

Input Data(入力)

AIが回答を導くための材料や情報を指し、「売上データの一部を提示してほしい」「製品カタログから重要な要素を抜き出してください」といった具体的なリクエストが望ましいです。

必要なデータや内容を明確に提示することで、より精度の高い回答が期待できますが、逆にあいまいな入力だと不要な情報が生成されやすくなるため、求める結果に直結しそうなデータを選んで伝えるようにしましょう。

Output Indicator(出力形式)

最終的にどのような形で回答やレポートを出してほしいかを示す要素です。

「箇条書きで結論をまとめましょう」「200文字程度で要約してください」などが代表的なところでしょう。

出力形式を指定しないと、改行のない詰まった印象の文章が生成されがちで、重要な部分が埋もれてしまう可能性があります。利用シーンや目的に合った形式をあらかじめ提示し、効率的に情報を活用できるようにしてください。

プロンプトエンジニアリングを活用できる生成AIツール

プロンプトエンジニアリングを活用できる生成AIツールは、以下があげられます。

プロンプトエンジニアリングを活用できる生成AIツール
  • ChatGPT
  • Gemini
  • Claude
  • Copilot

それぞれのAIツールにおける概要や特徴、プロンプトエンジニアリングを行ううえでのポイントについてもチェックしておきましょう。

ChatGPT

ChatGPTは、もはや世界中で最も有名な生成AIツールと言っても過言ではありません。OpenAI社によって提供されており、自然言語処理技術を基盤とした仕組みが搭載されています。

年々サービスの改善が行われており、2024年5月には音声での対話だけでなく話者の識別も可能なモデル『ChatGPT 4o』がリリースされました。

プロンプトエンジニアリングに欠かせないプロンプトジェネレーターも提供されているため、興味がある方は活用してみましょう。

Gemini

Geminiは、Google DeepMindが開発した次世代型の生成AIツール。

Google DeepMind(グーグルディープマインド)はGoogle傘下の人工知能(AI)開発企業であり、AIの研究・開発が日々行われています。

そして、Geminiには自然言語処理能力に加えて画像やテキストを同時に処理できるマルチモーダル機能が搭載されているのも大きな特徴です。

コンテンツをよりスピーディーに生成したい方は、プロンプトエンジニアリングと同時にGeminiへの知見も身につけても良いかもしれません。

Claude

Claudeは、Anthropicが提供する生成AIツールです。大量の文章読み込みや要約に特化しており、プロンプト次第ではあたかも人間が書いたかのように自然な文章を生成できる可能性があります。

長文のPDFファイルの読み込みに加え、ソースコードを含むWordPress上で活用可能なコンテンツにも対応しているので、ウェブメディア関連の業務では特に重宝するでしょう。

Copilot

Copilotは、Microsoft傘下のGitHubが開発した生成AIツール。プログラミングにおけるソースコードの生成に特化しており、コード生成やデバッグ、最適化といった開発者の作業効率を向上させる目的で設計されています。

多くのプログラミング言語に対応しているほか、統合開発環境(IDE)に組み込んで利用することも可能です。

なお、CopilotはMicrosoftでも提供しているので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

関連記事:【初心者でも簡単】Copilot(コパイロット)とExcelの連携方法と活用例・注意点を解説

プロンプトエンジニアリングの代表的な手法

プロンプトエンジニアリングにおける代表的な手法は、以下のとおりです。

プロンプトエンジニアリングの代表的な手法
  • Zero-shot prompting(単純な質問による指示)
  • Few-shot prompting(具体例を含める指示)
  • CoT(Chain-of-Thought) Prompting(計算の答えを導き出す指示)
  • Generate Knowledge Prompting(知識生成プロンプティング)
  • ReAct(推理と行動)
  • Directional-Stimulus -Promptingt(方向性刺激プロンプティング)

それぞれの用語や具体例を解説します。

Zero-shot prompting(単純な質問による指示)

Zero-shot promptingは、事前に例を与えず、単純な質問だけを投げかける手法です。

AIに対して「○○について教えてください」というようにシンプルな構文を用いるので、最初の導入やテスト段階でよく活用されます。

ただし、回答品質は質問の明確さに左右されやすいため、用途を限定せずにさまざまな分野で試せる利点がある反面、期待どおりの答えを得にくい場合もあるでしょう。

【プロンプト例】

「最新のスマートフォン市場の動向を教えてください。重要そうなメーカーや特徴を挙げたうえで、全体的な傾向をまとめましょう。」

Few-shot prompting(具体例を含める指示)

Few-shot promptingは、質問に加えていくつか具体例を提示し、AIにそのパターンを学習させる手法となります。

「このような形式で回答してください」というテンプレートを与えることで、回答の精度や再現性を高められるでしょう。ゼロショットに比べて多少の手間はかかりますが、その分だけ的確に回答を生成してもらえるはずです。

また、似たようなタスクが複数ある場合に活用するとより効果的であり、提示したパターンが多いほど目指す方向性をAIに理解させやすくなります。

【プロンプト例】

「以下の例を参考にして、商品レビューを短くまとめてください。

例:『商品A:軽量で持ち運びしやすい。デザインはシンプル』という形式でお願いします。」

CoT(Chain-of-Thought) Prompting(計算の答えを導き出す指示)

Chain-of-Thought promptingは、AIが思考する過程を段階的に示し、論理的に推論させるためのプロンプト設計です。

たとえば、数式の解き方や結論へ至るプロセスを順番に書き出させることで、誤情報を飛躍的に減らせるでしょう。この手法は一気に答えを求めるのではなく、途中経過を丁寧に説明させる点が特徴です

計算問題や論理問題といった明確な根拠づけが必要な場面では特に有効なので、データドリブンなマーケティング施策を考えさせる際などに活用できるかもしれません。

【プロンプト例】

「数字の合計を求める手順をステップごとに解説してください。最後に合計値と計算プロセスを分かりやすくまとめましょう」

Generate Knowledge Prompting(知識生成プロンプティング)

Generate Knowledge promptingは、AIが持つ知識をベースに新たな情報やアイデアを引き出す手法となります。

既存のデータを超えた仮説やアイデアを求めたい場合に重宝するので、クリエイティブなコンテンツを作りたい時はぜひ使ってみてください。

具体的なプロンプトは比較的シンプルで、基本的には「○○分野の新しいトレンドをいくつか提案してください」のように問いかけるだけです。ただし、根拠があいまいな情報が含まれる場合もあるため、回答内容のダブルチェックは欠かせません。その点を踏まえると、新規アイデアのブレストなどに使うと良いでしょう。

【プロンプト例】

「次の技術分野で新たな応用例を考えてください。可能性やメリット・デメリットも併せて提案しましょう。分野:ウェアラブル端末」

ReAct(推理と行動)

ReActは、推論(Reasoning)と実際の行動(Act)の両面をプロンプトでカバーして、課題解決までのプロセスをAIに演繹させる手法。

まず状況を整理し、次にどのような手順や対応が必要かを考えさせることで、より具体的な解決策が期待できます。単に情報をまとめるだけでなく、状況に応じたアクションプランを引き出したい場合に適しているので、ビジネスシーンでは実務に直結した提案が欲しい場合に重宝するでしょう。

【プロンプト例】

「現状の課題と原因を列挙し、その後に解決手順を具体的に提案してください。優先度や必要なリソースも加味して行動計画をまとめましょう。」

Directional-Stimulus -Promptingt(方向性刺激プロンプティング)

Directional-Stimulus promptingは、AIの回答をユーザーが求める方向へ促すために、あらかじめ意図した切り口や視点を示す手法となります。

具体的に、「売上を伸ばす観点からのみアイデアを出してください」といった形であえて制限を加えることで、不要な情報を除外できるでしょう。狙った分野や方向性に特化した回答を得たい場合は特におすすめです。

また、文章量や口調などを細かく指定することもあり、AIが迷わずに必要な部分を深掘りできます。

【プロンプト例】

「新製品の販路拡大だけをテーマにして案を出してください。予算規模やターゲット層など、マーケティング面の視点を中心に具体案を列挙しましょう。」

プロンプトエンジニアリングにおける注意点

ここからは、プロンプトエンジニアリングにおける注意点を見ていきましょう。

プロンプトエンジニアリングにおける注意点
  • シンプルな指示から初めて徐々に深掘りする
  • 曖昧な指示をせず具体的に意図を伝える
  • 出力結果のファクトチェックを欠かさない
  • 最新情報と出力結果の照らし合わせを行う
  • 出力結果の継続的な改善に努める
  • 人間同士のレビューや意見交換も実施する

それぞれ意識しておくべきポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

シンプルな指示から初めて徐々に深掘りする

プロンプトの設計では、いきなり詳細な要求を詰め込むよりも、まずは短くシンプルな指示から始めるのがおすすめです。

小さな設定でもAIの挙動を確認することで、思わぬ間違いや不要な情報を回避しやすくなります。最初に土台を固めておけば、追加の条件や質問を重ねる段階でも回答がブレにくくなるでしょう。

最終的なゴールに近づけるための第一歩として、小さな指示をコツコツ積み重ねるイメージを持ってみてください。

曖昧な指示をせず具体的に意図を伝える

AIに指示を与える際は、「○○について教えてください」ではなく、「○○の特徴を3つ挙げ、メリットとデメリットを説明してください」のように、具体的な意図や出力形式をはっきりと示すことも重要です。

曖昧な言葉が多いほどAIの解釈に幅が生じてしまい、回答も散漫になりがち。どんな情報が必要かをはっきり書き出すことで、効率的に求める内容を引き出せるでしょう。

出力結果のファクトチェックを欠かさない

AIから得られた回答が必ずしも正しいとは限りません。まれに事実と異なる情報が紛れ込むこともあるため、特に数字や統計などは別途で情報元を調べておき、ダブルチェックしましょう。

また、些細な部分でも疑問を感じたら、関連資料や専門家の確認を挟む習慣を持つようにしてください。

最新情報と出力結果の照らし合わせを行う

AIの学習モデルは最新情報を搭載しているわけではありません。定期的なバージョンアップはあるものの、頻度は少ない傾向ですから、最終的には最新のニュースや公式リリースと照らし合わせるようにしましょう。

特に業界動向や法改正といった分野では、出力された内容が古いケースも多いです。こちらも常に最新情報をファクトチェックし、誤った情報を公開しないように注意してください。

出力結果の継続的な改善に努める

一度生成された回答をそのまま使うのではなく、必要に応じて修正しながら精度を高めていくことが重要です。

プロンプトの条件を少し変えたり、追加で説明を求めたりすることで、より回答精度をブラッシュアップしていけるでしょう。

人間同士のレビューや意見交換も実施する

AIからの回答は、あくまで大規模言語モデルが推測した結果にすぎません。

より再現性を高めたいなら、実際に業務へ導入する前に社内の担当者や専門家とレビューを行い、内容をすり合わせる必要があります。複数の視点を取り入れることで、回答の偏りなどを軌道修正できるはずです。

プロンプトエンジニアリングで生成AIを使いこなそう

この記事では、プロンプトエンジニアリングの定義やメリットに加えて、代表的な手法や注意点を解説しました。

プロンプトエンジニアリングの仕組みや手法には、普段見慣れない英文や専門用語が多いと感じる方も多いかもしれません。しかし、以下を事前に把握しておくことで、よりスムーズにチャレンジできるでしょう。

  • Zero-shot prompting(単純な質問による指示)
  • Few-shot prompting(具体例を含める指示)
  • CoT(Chain-of-Thought) Prompting(計算の答えを導き出す指示)
  • Generate Knowledge Prompting(知識生成プロンプティング)
  • ReAct(推理と行動)
  • Directional-Stimulus -Promptingt(方向性刺激プロンプティング)

プロンプトというものは、あくまで人間が意識的、あるいは無意識に会話へ盛り込んでいる構文によって作られているものに過ぎません。その基本を踏まえつつ、本記事も参考にぜひプロンプトエンジニアリングをはじめてみてください。

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