ChatGPTにおける商用利用とは、コンテンツや素材、知的財産などで金銭を得るために使用することを指します。
AIの普及によって誰でも制作活動が行えるようになったものの、「ChatGPTで作った文章や画像は商用利用できるの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
【記事を読んで得られること】
- ChatGPTを商用利用するメリット
- ChatGPTを商用利用するための具体的な方法
- ChatGPTを商用利用するときの注意点
そこでこの記事では、ChatGPTを使って商用利用するコンテンツを作成するときの注意点や禁止事項を解説します。具体的な活用事例も掲載しているので、商用利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
ChatGPTは商用利用できる?懸念事項も解説
結論から言うと、ChatGPTの商用利用は可能です。
そもそも「商用利用」とは、著作物やコンテンツを「利益を得る目的」で利用する行為を指します。広告収入やコンテンツビジネスを行う場合、基本的に商用利用にあたるものと考えた方が無難です。
実際のところ、AIで生成した文章や画像をそのまま利用してお金を生み出すのは難しいものの、土台作成といった一部の作業をサポートしてもらううえでは大変重宝します。
特にChatGPTは言語理解能力に優れているので、うまく活用すれば今まで外注や有料ツールへ支払っていた費用も軽減できるでしょう。
しかし、ビジネスでChatGPTを使うにはルールが存在します。最悪の場合、利益を産むどころか損害賠償を請求される原因になりかねないため、次の見出しで解説するポイントをしっかり押さえておきましょう。
ChatGPTの商用利用で禁止されていること
ChatGPTを商用利用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 著作権の侵害
- 特定組織や個人に対する嫌がらせ・誹謗中傷
- 暴力的なコンテンツの作成
- 個人情報の漏えい
それぞれ具体的に解説します。ルールを守って安全にChatGPTを商用利用してください。
著作権の侵害
ChatGPTを使用する際は、生成された内容が著作権を侵害していないか確認する必要があります。なお、ここで言う「著作権の侵害」とは、他人が既に公開している作品を模倣したり、無断で活用したりすることを指します。
そして、他者が作成した文章や画像、動画などのコンテンツを無断で転載・加工することはこの著作権保護法により禁止されており、もし違反した場合訴訟問題に発展するリスクもゼロではありません。
実際に、ChatGPTは膨大なデータを学習しているため、生成文章が既存のコンテンツに似てしまうケースは多いです。したがって、ChatGPTを商用利用するなら、生成された内容を人間がチェックしてオリジナル性を確保しつつ、ファクトチェックも実施しましょう。
特定組織や個人に対する嫌がらせ・誹謗中傷
ChatGPTを利用して、特定の個人・組織に対する嫌がらせや誹謗中傷を行うことは禁止されています。
最近は政治家の画像を使ったディープフェイク動画、悪意のあるコメントや虚偽情報を生成し、それを拡散する行為が増えていますが、これらは名誉毀損などに該当するリスクが高く、訴訟を起こされる直接的な原因になり得るでしょう。
また、ChatGPTは完璧な精度を持つわけではないため、生成内容に誤解を招く表現が含まれてしまい、故意的でなくとも上記に当てはまるケースがあります。
特にSNSやブログにおける投稿では、一度情報が拡散されると削除が困難になるので、最新の注意を払いつつチェックしてください。
暴力的なコンテンツの作成
ChatGPTを用いて、以下のように暴力的な内容を含むコンテンツを作成することも禁止されています。
- 人為的な生物の死にかかわる内容
- 暴力行為による流血における描写
- 暴力行為を助長する発言・美化する文章 など
暴力的な内容は広告プラットフォームやSNSの利用規約に違反するケースも多く、アカウント停止はもちろん法的措置を招く恐れもあるでしょう。
そのため、ChatGPTを商用利用するには、暴力的なニュアンスが含まれていないかも確認し、健全な発信内容を心がけるようにしてください。
個人情報の漏えい
ChatGPTを商用利用する際、個人情報の取り扱いにも細心の注意を払う必要があります。
顧客や従業員といった一個人の氏名・連絡先などはプライバシーの観点から含めるべきではなく、他人の住所などを公開してしまえば、事件性の高い問題に発展するリスクもあるからです。
データ保護規制違反に抵触する可能性もあるため、個人情報が生成内容に含まれないよう、フィルタリング機能を活用して内容をチェックする仕組みを導入するのがおすすめ。その際は、フィルタリングに加えて人間がダブルチェックする体制も整えておきましょう。
その他の禁止事項
ChatGPTでは、以下の事項も禁止されています。
- アダルトコンテンツの作成
- スパム、マルウェアの生成
- フィッシングサイトへ誘導するコンテンツ
アダルトコンテンツの作成や配布は、倫理的問題に加えて法的規制に触れるリスクがあります。
また、スパムとして不特定多数に迷惑メールを送る行為、検索エンジンのアルゴリズムを不正利用するコンテンツ生成も禁止行為です。
さらに、マルウェアやフィッシング詐欺のような悪意のあるプログラムの作成は、生成AIそのもののセキュリティリスクを脅かす原因にもなりかねません。
上記の行為はChatGPTの利用規約で明確に制限されており、発覚した時点でアカウントの停止につながるだけでなく、刑事罰に問われる恐れもあるため、絶対に避けるようにしましょう。
ChatGPTを商用利用するメリット
ChatGPTを商用利用するメリットは、以下のとおりです。
- 作業効率を大幅に向上させられる
- 人件費や外注費の削減に役立つ
- 特定の人員へ依存する業務を減らせる
- 新たなビジネスの開拓へ繋げられる
それぞれ詳しく解説します。
作業効率を大幅に向上させられる
ChatGPTは、文章作成やデータ整理、問い合わせ対応といった多彩なタスクを短時間で処理できます。
SNS投稿のアイデア出しや顧客へのメール返信、マーケティング施策の立案なども可能。出力精度は完璧ではないものの「0〜8をAIに任せ、最後の2を人間の手で行う」などといった仕組みを整えることで、作業効率が大幅に上昇するでしょう。
使い方次第では24時間連続で稼働もできるため、時間帯を問わず業務を進められるのは、人間にない大きな魅力です。
人件費や外注費の削減に役立つ
ChatGPTをうまく活用すると、簡単な文章作成やデータ入力といったルーティンワークを簡単に自動化できます。
外注に頼らず社内で内製化することで人的リソースをメイン業務に集約し、人件費についても抑えることが可能です。顧客の一次対応やSNS投稿のネタ出し、議事録作成などはAIの得意とするところですから、積極的に活用してみてください。
特定の人員へ依存する業務を減らせる
ChatGPTは、デザインや翻訳といった専門スキルを持つ人材の代わりとしても重宝します。
文章生成や画像生成はもちろん、その作業を行うルーティン作りにも役立つため、新しいスタッフでもある程度質の高い業務をこなせる仕組みを整えられるはずです。
また、特定の人員に業務が集中するリスクも回避し、チーム全体のパフォーマンスを向上させることもできます。
新たなビジネスの開拓へ繋げられる
ChatGPTは、使い方次第で新たなビジネスチャンスを広げるツールにもなり得ます。
ユーザーニーズにもとづいた新商品のキャッチコピー生成や、ターゲットを意識したプロモーションも考案してもらえるため、ビジネススケールを目指す企業には特に重宝するでしょう。
なお、ChatGPTは多言語対応しているので、海外向けサービスでも活用できます。カスタマイズすれば外国人の顧客対応もこなせるはずです。
ChatGPTが持つ複数の機能を「掛け算」し、より多くの顧客へ価値提供できる体制を整えてみてください。
ChatGPTを商用利用する具体的な方法8選
次は、ChatGPTを商用利用する8つの方法を紹介します。
- 文章の生成・要約
- プレゼン資料の作成
- 市場分析
- 画像の生成
- チャットボットの作成
- 外国語の読解・翻訳
- 音声の文字起こし
- APIによる外部ツールとの連携
なお、ChatGPTは無料版・有料版で機能が区別されているため、以下にその内容をまとめました。
ChatGPTの活用方法 | 無料版 | 有料版 |
文章の生成・要約 | 〇 | 〇 |
プレゼン資料の作成 | △ | 〇 |
市場分析 | △ | 〇 |
画像の生成 | △(制限あり) | 〇 |
チャットボットの作成 | × | 〇 |
外国語の読解・翻訳 | 〇 | 〇 |
音声の文字起こし | × | 〇 |
APIによる外部ツールとの連携 | × | 〇 |
無料版にはない機能を活用したい方は、有料版への登録も検討しましょう。
文章の生成・要約
ChatGPTは文章生成能力に長けており、以下のような業務に活用できます。
- 商品に関する文章の作成
- SNSへ投稿する文章の作成
- ショートムービーのスクリプト作成
- メール文章の作成
それぞれどのように作成するべきか、具体例も見ていきましょう。
商品に関する文章の作成
自社商品やサービスを「より広めてたくさん売る」には、簡潔でわかりやすいタイトルと紹介文が欠かせません。
ChatGPTを使えば、自社商品やサービスを紹介するうえでのアイデアだけでなく、PRのテンプレートまで生成できます。現状の日本語出力精度は完璧とは言えないものの、こうしたマーケティング施策の提案レベルなら有効活用していけるでしょう。
場合によっては人間が思いつかないようなアイデアも提案してもらえるため、アシスタント的な立ち位置に据えるのがおすすめです。
SNSへ投稿する文章の作成
SNSでの投稿には、簡潔かつ自社商品・サービスの魅力を伝えられるデザインセンスや文章スキルが求められます。
具体的なところで言えばハッシュタグがあげられますが、ChatGPTならこの分野もワンストップでカバーでき、「#期間限定セール」や「 #お得情報」などの関連タグを生成できます。「1ヶ月分の投稿ネタを考えて」とプロンプトすることも可能です。
シンプルに文章を生成する手間も削減できるため、SNS運用に人員を割いている企業はぜひ検討してみてください。
ショートムービーのスクリプト作成
ChatGPTは、インスタやYouTubeにおける60秒以内のショートムービースクリプト作成にも活用できます。
たとえば、商品の使用シーンの紹介動画を作成する場合、「シーン1:乾燥肌に悩む女性が登場。シーン2:スキンケアクリームを使用。シーン3:翌朝、輝く肌で笑顔になる女性。」といったストーリーラインを簡単なプロンプトで作れます。
ナレーションの具体的なセリフを作成する際も「この美容クリームで、潤い肌を取り戻しましょう!」といったフレーズまで生成してもらえるでしょう。
メール文章の作成
ChatGPTは、既存・新規顧客への営業活動やビジネスメール作成にも活用できます。
特に数十人・数百人のターゲットへ向けてメールを一斉送信する場合、ユーザーの特性に応じて複数のテンプレートを生成する必要があるでしょう。これを人の手で行うのは非効率的ですが、ChatGPTを使えばターゲットに合わせたメール文章のテンプレートを同時に複数パターン作ってもらえます。
イチから文章を作成するのが苦手な方、そもそも人員に余裕がない企業には、この活用方法が役に立つはずです。
プレゼン資料の作成
ChatGPTなら、プレゼン資料やスライドの構成案もスピーディに作成できます。提案内容の要点を整理し、スライドのフレームワークを作成することで、資料作成にかかる時間を大幅に縮められるでしょう。
社内でディレクター・デザイナーなどを務める方は、資料作成にChatGPTをうまく活用し、作業の効率化を図ってみてください。
市場分析
ChatGPTはマーケティングにおける市場分析でも有効活用できます。
特定の業界に関する最新のトピックを調べたり、競合他社の特徴をまとめたりでき、顧客向けアンケートの回答における内容分析においても、ChatGPTをうまく使うことで簡単にデータ収集が行えるでしょう。
これは、市場リサーチが必要なマーケターやライターはもちろん、自社サービスの売り上げなどを向上させたい場合にもおすすめです。
画像の生成
有料版のChatGPTでは以下の用途で活用できる画像を生成できます。
- SNS用の投稿画像
- ウェブサイトのバナー
- 広告コンテンツにおける画像素材
ChatGPTなら同じくOpenAIが提供するDALL-E3が使えるので、デザインスキルを持つ人材確保に困っている企業や、画像作成の外注費を抑えたい場合は特に役立つはずです。
ただし、AIの画像生成品質には限りがあります。たとえば人間の指が多かったり、デザインを統一できなかったりするので、その点はCanvaなどで人間が修正するようにしてください。
チャットボットの作成
ChatGPTは、顧客対応の自動化に欠かせないチャットボット開発でも効果を発揮します。
具体的に、企業WebサイトやSNSのメッセージ機能に、24時間対応のチャットボットを導入することで、問い合わせ対応の品質が劇的に向上するでしょう。あくまで一次対応までですが、必要性の高いメッセージを振り分け、人的リソースを最適化できます。
また、特定の質問に対する回答をテンプレートにすれば、顧客満足度を維持しながら業務における負担も軽減可能です。
外国語の読解・翻訳
ChatGPTを活用すると、英語や中国語といった様々な言語における文章読解・翻訳も可能です。
海外の顧客から届いたメールの内容を日本語に翻訳したり、日本語の提案書を英語や他言語に翻訳する際も、「〇〇語に翻訳して」と指示するだけで完結します。
そのため、グローバル視野でビジネス展開したい方や、インバウンド支援を行いたい場合は特に重宝するのではないでしょうか。
加えて、海外の為替市場といった英語資料をリサーチする際もChatGPT一つで解決します。
議事録の作成
ChatGPTは、会議やインタビューの議事録作成においても重宝します。文字起こしはChatGPT単体では行えませんが、外部ツールの「whisper」などを用いて音声を言語化し、それをGPTに要約させることで議事録にできるのです。
その議事録をベースに改善提案などもワンストップで出力させられるので、社内・顧客とのミーティングが多い企業には大変おすすめと言えるでしょう。
なお、ChatGPTの文字起こしについては以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:ChatGPTの文字起こしのやり方は? 議事録作成などの活用方法やメリット・デメリット・おすすめツールを解説
APIによる外部ツールとの連携
ChatGPTと普段使っている業務ツールを連携させたい場合は、APIがおすすめです。
ChatGPTのAPIには様々な種類が提供されており、より自社のニーズにマッチした機能を実装・カスタマイズできます。
たとえば、プロジェクト管理ツールのAPIと統合すれば、進行状況をもとにリマインダーや必要なタスクを提案してもらえるでしょう。
顧客管理システム(CRM)やデータベース(DB)と連携すると、ストックされた顧客情報をもとに適切な営業メールを自動生成させることも可能です。ただ、APIは別途料金が発生するため、詳しくは以下の記事もチェックしてみてください。
関連記事:ChatGPT APIの料金モデル別比較!支払いと計算方法やコストダウンのコツ・注意点などを解説
ChatGPTを商用利用するときの注意点
ChatGPTを商用利用するときは、以下のポイントに注意しましょう。
- 意図しない著作権侵害に細心の注意をはらう
- ハルシネーションを防ぐため必ずファクトチェックを行う
- 出力した内容をそのままコピペして活用しない
- 活用するのが難しいと感じたらプロへ相談する
それぞれ具体的に解説します。
意図しない著作権侵害に細心の注意をはらう
ChatGPTが意図せず生成した特定のフレーズや構成は、他者の作品と偶然一致する可能性があります。これを商用利用すると著作権侵害に該当するリスクがあるため注意が必要です。
そのため、生成文章を使用する前に、必ず著作権に関する問題がないかを人間側で確認しましょう。
なお、コンテンツや資料を作成するうえでは、ライバルに負けない差別化ポイントを明確にする必要があります。あくまで既存の情報しか持たないChatGPTだけでは独自性を出しきれず、当たり障りのない内容に落ち着いてしまう可能性があるため、この観点からもAIに頼り切るのはおすすめできません。
著作権の問題も踏まえつつ内容のダブルチェックを行い、オリジナル性を担保してください。
ハルシネーションを防ぐため必ずファクトチェックを行う
ChatGPTは事実にもとづいてコンテンツを生成しますが、まれに誤情報を生成するケースがあります。
これは「ハルシネーション」と呼ばれ、実在しない情報や誤った統計データなどがコンテンツに含まれるリスクがあるので、注意しなければなりません。
ただ、ハルシネーションはプロンプトなどでは防ぎきれず、人の手でファクトチェックし、正確性を確認する必要があります。
この点はAIの弱点でもあるものの、そもそも品質を担保するうえでダブルチェックは欠かせませんから、ハルシネーションも踏まえたうえで基本動作として取り入れましょう。
出力した内容をそのままコピペしない
ChatGPTで生成した文章は、原則としてそのままコピペして使わないべきです。
生成AIは予め学習したデータに沿って回答を出力するため、ゼロからイチを生み出すアイデア発想力についてはまだまだ人間に敵わない部分もあります。
また、商用利用するコンテンツの作成をChatGPTに丸投げしてしまうと、独自性やブランドの一貫性が損なわれる可能性が高い点にも注意が必要です。
万が一他社も同様の内容を生成して使用している場合、競合との差別化が難しくなり、オリジナリティのあるコンテンツにすぐ差をつけられてしまうでしょう。
ターゲットに対して適切でないトンテマも逆効果となるため、ChatGPTの生成文章はあくまで「叩き台」とし、自社のトーンやスタイルに合わせて人間が手を加えることが大切です。
ChatGPTは商用利用できる!注意事項を押さえてビジネスへ活用しよう
今回は、ChatGPTを商用利用するうえでの具体的な活用事例や知っておくべき禁止事項を解説しました。ChatGPTは、今や作業の大幅な効率化やイノベーションが期待できるツールとして、多くの業界・業務において重宝されています。
【ChatGPTを商用利用するメリット】
- 作業効率を大幅に向上させられる
- 人件費や外注費の削減に役立つ
- 特定の人員へ依存する業務を減らせる
- 新たなビジネスの開拓へ繋げられる
活用方法によってはリソース不足を補えるツールにもなるため、外注費のコストダウンや作業の仕組み作りにも活用可能です。この記事を参考にしつつ、安全かつ効率的にChatGPTを使っていきましょう。