ChatGPT APIはAIの品質向上や機能拡張に役立つツールであり、チーム単位でプロジェクトを手がける企業などからは特に重宝されています。
ただ、以下のような悩みにより、導入を推進しきれていない企業担当者も多いのではないでしょうか。
「ChatGPT APIの料金確認方法がわからない」
「料金が高額だった時の対処法が知りたい」
そこで本記事では、ChatGPT APIの料金確認方法や具体的な手順、費用を抑えるための対処法などを解説します。
【記事を読んで得られること】
- ChatGPT APIの料金確認方法
- 高額料金を抑える方法
- おすすめのChatGPtモデル
今回は料金確認以外の手順も掲載しているので、現在APIの導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
ChatGPT API料金確認一覧表
まずはChatGPT APIにおけるモデルごとの料金から見ていきましょう。
モデル | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) | 処理できるトークン数 | 学習データ期間 |
---|---|---|---|---|
GPT-4 turbo-0409 | $10.00 | $30.00 | 128,000トークン | 2023年12月 |
GPT-4 turbo-0125 | $10.00 | $30.00 | 128,000トークン | 2023年4月 |
GPT-4 turbo-1106 | $10.00 | $30.00 | 128,000トークン | 2023年4月 |
GPT-4 Vison | $10.00 | $30.00 | 128,000トークン | 2023年4月 |
GPT-4 | $30.00 | $60.00 | 8,192トークン | 2021年9月 |
GPT-4 32K | $60.00 | $120.00 | 32,768トークン | 2021年9月 |
GPT-3.5 turbo-0125 | $0.50 | $1.50 | 16,000トークン | 2021年9月 |
GPT-3.5 Turbo instruct | $1,50 | $2.00 | 4096トークン | 2021年9月 |
Embeddingとwhisperの料金
ChatGPT APIを利用するうえでは、自然言語を計算しやすい形に変換する「Embedding」と議事録の文字起こしなどに使用する「Whisper」も押さえておいた方が良いでしょう。
具体的なAPI料金は以下の通りです。
モデル | 料金 |
---|---|
Embedding | 0.02ドル(100万トークン当たり) |
Whisper | 0.0062ドル(1分当たり) |
文字起こしを行う際はほぼ必須となるため、事前に想定コストを計算するのがおすすめです。
ChatGPT APIの料金確認に必要な基礎知識
ChatGPT APIの料金確認をするには必要となる知識があります。以下4つの項目をそれぞれ覚えておきましょう。
- 料金はトークン数による従量課金製
- モデルによって異なる料金体系
- ChatGPTの料金とは別枠
- 無料版でも使用可能
それぞれ詳しく解説します。
料金はトークン数による従量課金製
ChatGPT APIの料金は、利用したトークン数にもとづく従量課金制であり、トークンは入力および出力するテキストを分割した基本単位として計算されます。
そして、先ほど触れた通り利用するモデルごとにトークン単価が異なり、それぞれ1,000トークンごとの料金が定められています。
たとえば英語の場合、1単語が約1トークンに相当し、日本語ではひらがなやカタカナの場合1文字が約1トークン、漢字が含まれる場合は1〜3トークンに相当することが多い傾向にあります。
ただ、内容や形式によってトークン数は変動するため、その点は使いながら把握していくと良いでしょう。
トークン数の数え方:日本語
日本語のトークン数を数える場合、ひらがなやカタカナは通常1文字で1トークンとしてカウントされますが、漢字の場合は1文字で1〜3トークンになります。
また、句読点やスペースもトークンとして数えられることがあります。
たとえば、「今日は天気が良いですね」という文の場合、文字数は13文字ですが、トークン数は内容によって異なるため、正確なトークン数を確認したい場合は、OpenAIが提供する「Tokenizer」ツールで確認するのがおすすめです。
実際のところ、日本語は英語と比較してトークン数が増えやすいので、その点に注意してこまめにチェックするようにしましょう。
トークン数の数え方:英語
英語では、1単語がおおむね1トークンに対応しますが、単語間のスペースやピリオド、カンマなどの句読点もそれぞれ1トークンとして計算されます。
そのため、単語数だけでなく文章の構造や内容によってトークン数が増減する可能性があります。
たとえば、「Hello, how are you?」という短い文章は5単語ですが、トークン数としては句読点を含め7トークンとカウントされることがあります。また、略語や複合語が含まれる場合は、それらが1トークン以上として計算されることも少なくありません。
なお、英語は単語の区切りが明確なため比較的シンプルにトークン数を推定できますが、長文や特殊な表現では意外にトークン数が増える場合があります。API利用の際はこちらも事前に確認するようにしてください。
モデルによって異なる料金体系
ChatGPT APIの料金体系は、選択するモデルによって大きく異なります。
具体的に、GPT-4oでは100万トークンあたり入力が$5、出力が$15と、比較的低コストで利用可能。一方、GPT-4やGPT-4-32kは、入力が$30~$60、出力が$60〜$120と高額になります。
また、GPT-4 Turboは通常のGPT-4より低コストであり、入力が$10、出力が$30で利用できますが、さらに低コストで使いたいならGPT-3.5 Turbo系統がおすすめです。
特にGPT-3.5 Turbo-0125は入力が$0.50、出力が$1.50と非常に安価です。使用目的や予算に応じて最適なモデルを選択しましょう。
ChatGPTのAPI料金については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ChatGPTの料金とは別枠
ChatGPTの月額サービス利用料とAPIの利用料は別扱いとなるため、その点にも注意した方が良いでしょう。
ChatGPT単体であれば月額20ドルで済みますが、APIを利用する場合は、それに加えて使用したトークン数にもとづく従量課金制が加算されるというわけです。
ChatGPTの月額料金自体はさほど高額ではないものの、正確にコストを算出するうえでは重要なポイントと言えるでしょう。
無料版でも使用可能
ChatGPT APIは無料枠が設定されており、一定量のトークンが無料で利用できます。APIの性能や機能を本番環境で試すことで、コストを気にせず導入前の検証が行えるでしょう。
ただし、無料枠には上限があるため、大量のトークンを必要とする大規模テストや商用利用には不向きです。まずは小規模な業務で費用対効果を算出し、見通しを立ててから有料プランを利用するようにしてください。
ChatGPT APIの料金確認手順
ChatGPT APIの料金は、以下3つの手順で行えます。
- 公式サイトからAPIにログインする
- ダッシュボードでUsageを選ぶ
- 利用料金を確認する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
公式サイトからAPIにログインする
ChatGPT APIの料金を確認するには、まずOpenAIの公式サイトにアクセスし、メールアドレスやGoogleアカウントを使って新規登録が必要です。
そしてログインすると下記の画面になります。
既にアカウントを持っている場合は、登録時に設定したメールアドレスとパスワードを入力してログインしましょう。
ダッシュボードでUsageを選ぶ
ログイン後、右上のダッシュボードをクリックして左側のメニューから「Usage(使用状況)」タブを選択します。
ここまではほんの数クリックで済むため、スムーズに進められるでしょう。
利用料金を確認する
Usageをクリックすると、現在の料金が表示されます。
定期的に利用料金を確認し、自社がどのくらい使用しているかをこまめに確認しましょう。
ChatGPT APIの料金確認以外の手順
ChatGPT APIを活用するには、料金確認以外の手順も覚えておく必要があります。特に後半で解説する料金の上限設定は、コストの高額化を防止するうえで大変重要なので、ぜひ参考にしてください。
支払い方法の変更・確認
ChatGPT APIで支払い方法を確認する際は、以下の手順で行います。なお、支払い方法はクレジットカードのみです。
まずは公式アカウントにログインします。
次に右上のネジマーク「settings」をクリックして、左のメニューにある「Billing」を選択すると、クレジットカードの情報を入力する画面が出てきます。
ここまでの手順で支払い方法が確認できます。クレジットカードを変更したい場合などは参考にしてください。
トークン消費残高確認
トークンの消費残高確認も支払い情報の登録や変更と同じ画面で行います。
先ほどの画面同様、メニューバー「Settings」中の「Billing」を選択すると確認ができます。
無料枠を利用する際は特に重要となるため、現在検討している方は特に覚えておくべき手順と言えるでしょう。
料金上限設定
料金の上限設定も先ほどと同様の画面から行います。
ここは先ほどの支払い方法やトークンの消費量を確認する画面ですが、上限の設定は「Usage limits」をクリック。すると以下のような画面が出てくるので、ここで下にスクロールして「Usage limits」を洗濯すれば、上限の設定が行えます。
先ほど触れた通り、ChatGPT APIの料金は青天井で膨れ上がりますから、大規模プロジェクトなどで活用する際は、初動の段階から予算に応じて設定しておくのがおすすめです。
ChatGPT APIの料金確認後に高額だった時の対処法
次は、ChatGPT APIの料金が高額になってしまった場合の対処法を解説します。
- モデルが適切かを見直す
- 同じ質問の回答でキャッシュを使う
- 利用状況をこまめにチェックする
- 英語メインでやりとりする
費用対効果を維持するためにも、ぜひ参考にしてください。
モデルが適切かを見直す
ChatGPT APIが高額になった際は、まず利用しているモデルが適切かどうかを見直してみましょう。
APIでは複数のモデルが提供されており、基本的に性能が高いモデルほどトークン単価も高く設定されています。しかし、全てのケースで最高性能のモデルが必要というわけではなく、単純なタスクや基本的な回答で済む場面では、逆に低コストなモデルを選ぶことで費用を大幅に削減できるはずです。
たとえば、文章の要約程度であればGPT-4の代わりにGPT-3.5 Turboを利用することで、性能とコストのバランスを取りながら効率よく運用できます。タスクの複雑さや必要な精度を見極め、最適なモデルに切り替えてみてください。
同じ質問の回答でキャッシュを使う
カスタマーサポートなどでユーザーから同じような質問が繰り返し送られる場合に、毎回APIを呼び出すと余分なコストが発生する可能性があります。
これを防ぐには、過去に提供した回答をキャッシュとして保存し、同じ内容の質問が来た際にはそのキャッシュを利用する仕組みを導入するのがおすすめです。APIを何度も呼び出す必要がなくなり、トークン消費を抑えられるでしょう。
代表的なところで言えば、よくある質問(FAQ)が挙げられます。回答を再利用して無駄な課金を回避し、さらにコストパフォーマンスを高てみてください。
利用状況をこまめにチェックする
先ほど触れた通り、高額請求を防ぐには、利用状況を定期的に確認することが重要です。
ダッシュボードの「Usage」セクションで日々のトークン消費量やモデル使用頻度を確認し、異常な増加がないかを常に確認しておきます。
そして、予想外のコストが発生した場合、早期に原因を特定して対応できるよう、ログやレポートを活用して使用量を比べられる仕組みを整えると良いでしょう。
英語メインでやりとりする
ChatGPT APIのトークン数は日本語で1文字1〜3トークンとして計算される一方、英語では基本的に1単語が1トークンとして扱われます。
そのため、料金を抑えるには、可能な限り英語を使ってやりとりを行うのがおすすめです。
特に、簡潔な回答が求められる場合や、頻繁に同じ質問が繰り返されるような場面では、英語を用いることでトークン消費を節約できるため、積極的に活用しましょう。
なお、翻訳についてはChatGPTでも行えますが、外部の翻訳ツールなどを使っても問題ありません。いずれにしてもそこまで大きな手間は発生しません。
おすすめのChatGPTモデルは?4-Turboと3.5Turboを比較
次は、4-Turboと3.5Turboがおすすめのパターンを解説しつつ、それぞれの機能面も比較していきます。
4-Turboがおすすめのパターン
GPT-4 Turboがおすすめのパターンとして挙げられるのは、高度なタスクや複雑な要件を伴うプロジェクトに対応する場合です。
このモデルは、精度の高い文脈理解や複雑な質問への的確な回答を求められる状況で特に有用性が高く、複雑なテキスト解析や専門性の高いデータを扱う際は大きな助けになるのではないでしょうか。
また、128,000トークンという膨大なコンテキスト量を活用できるため、大規模データや長文を扱う場面でも活躍します。さらに、2023年4月までの情報を学習しているため、最新トレンドやデータをもとにしたアウトプットでも重宝するでしょう。
画像認識を含むマルチモーダル能力を活かしたアプリケーション開発にも活用できるため、多機能性を重視するならGPT-4 Turboを検討してみてください。
3.5Turboがおすすめのパターン
GPT-3.5 Turboは、コストパフォーマンスを重視するプロジェクトや、複雑性がそれほど高くないタスクに適しています。1,000トークンあたりの料金が最も安いため、予算が限られている場合や、運用コストを抑えたいプロジェクトでは特に役立つでしょう。
たとえば、簡単なテキスト生成やFAQ対応、シンプルなカスタマーサポート程度であれば、GPT-3.5 Turboの性能でも十分に効果を発揮します。
ただ、やはり4-Turboに比べると性能面では劣るため、必要に応じて使い分けるのがおすすめです。
ChatGPT APIの料金確認に関するQ&A
ここではChatGPTの利用確認に関する質問についてまとめています。
- ChatGPTの月額費用とは別なの?
- 支払い方法は何種類?
- ChatGPT APIは無料でも使える?
初心者にありがちな疑問をピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。
ChatGPTの月額費用とは別なの?
ChatGPTの有料プランは月額20ドルが発生しますが、APIの利用料金は従量課金制であり、実際に入力・出力されたトークン数にもとづいて課金されます。
たとえばAPIを使った場合、入力・出力それぞれ1,000トークンごとに単価が定められており、実際の利用量に応じて計算される形です。(例:GPT-4 Turboでは入力が$0.01/1kトークン、出力が$0.03/1kトークン)
料金上限を設定しない限り、APIの料金は青天井で膨れ上がるので、必ず事前に設定しておきましょう。
支払い方法は何種類?
ChatGPT APIの支払い方法は、クレジットカードとデビットカードの2通りとなっています。公式サイトの「Billing(請求)」セクションで支払い方法を登録でき、利用料金は月単位で自動的に請求される仕組みです。
複数のカードを登録して状況に応じて切り替えることも可能で、請求書をダウンロードすればそのまま経費管理に活用できるでしょう。
ChatGPT APIは無料でも使える?
ChatGPT APIは無料トライアルを提供しており、新規ユーザーは一定のトークン数を無料で利用可能です。
サービスの使い勝手や性能を事前に試せるため、初めて利用するユーザーにとっては導入ハードルが低くなっています。
ただし、無料枠を超えると通常の従量課金制が適用されるため、トークン消費状況を定期的に確認しなければなりません。また、無料トライアルでは有効期限が設定されているので、その観点からも注意するようにしましょう。
ChatGPT APIの料金を確認して費用対効果を高めよう
本記事では、ChatGPT APIの料金確認方法や、具体的な活用事例などを解説してきました。
ChatGPT APIの料金確認方法は至ってシンプルですが、大切なのは想定した予算内にコストを収めることとなります。こまめに確認した結果、利用料が高額になった場合は、以下の方法を試してみてください。
【高額な時の対処法】
- モデルが適切かを見直す
- 同じ質問の回答でキャッシュを使う
- 利用状況をこまめにチェックする
- 英語メインでやりとりする
本記事を参考に手順や対処法を覚え、効率的かつ経済的にAPIを活用していきましょう。