ChatGPTはAPIを導入することでさらに機能が拡張し、ユーザーのニーズに合わせてより詳細にカスタマイズできるようになります。しかし、導入を検討しつつ、以下のような悩みを持つ方も少なくありません。
「ChatGPTとAPIの違いがわからない」
「ChatGPT APIの使い方を知りたい」
そこで本記事では、ChatGPT APIの料金形態や基本的な使い方、導入時の注意点などを解説します。
【記事を読んで得られること】
- ChatGPT APIの使い方
- ChatGPT APIを活用する方法
- ChatGPT API導入時の注意点
アプリケーションや自社システムと連携させることで、さらに業務効率を向上させられるので、ぜひ参考にしてください。
ChatGPT APIとは?
ChatGPT APIとは、OpenAIが提供する自然言語処理モデル「ChatGPT」を外部システムやアプリケーションに組み込むためのインターフェースです。
APIは異なるソフトウェア間でデータをやり取りするための仕組みを指します。APIにより、開発者はChatGPTの高度な言語生成能力を活用し、独自のWebサービスやアプリケーションに組み込むことが可能。アプリや業務システムと連携できる柔軟性が加わりました。
初期のリリース時には「GPT-3.5-turbo」を採用していましたが、現在ではより高性能な「GPT-4o」にも対応しています。
ここからは、そんなChatGPT APIの基本知識を見ていきましょう。
ChatGPTとAPIの違い
ChatGPTとChatGPT APIは提供される機能は共通していますが、利用形態と目的が大きく異なります。
まず、ChatGPTはブラウザやアプリを通じて利用できるAIチャットサービスです。アカウント登録後に、質問や依頼を入力するだけで自然な応答を得られるため、個人利用や単発のタスクに適しています。
一方、ChatGPT APIはChatGPTの能力を他のアプリケーションやシステムに組み込むためのインターフェース。企業は自社のニーズに合わせた独自のチャットシステムや自動化ツールを構築することができます。つまり、APIを使えば自社のアプリやシステムにChatGPTの機能を反映・使用が可能になるということです。
また、APIはセキュリティ強化機能も備えており、企業単位での機密データの取り扱いにも適しています。
ChatGPT APIで効率化できる作業
ChatGPT APIで効率化できる作業には以下のようなものがあります。
- 文章制作・要約など
- 議事録作成・文字起こし
- プログラミングコード生成・修正
- マニュアル作成
- 言語の翻訳
- 自動応対システムの構築
それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお、ChatGPT APIの使い方については、こちらの記事(準備中)でも詳しく解説しています。
文章制作・要約など
ChatGPT APIはビジネス文書などの執筆を迅速化し、要約機能で膨大な情報を簡潔に整理できます。ブログ記事や商品説明文の作成、複雑な報告書の要点をまとめる作業では特に役立つでしょう。
たとえば、研究論文を簡潔にまとめてプレゼン資料用の短い解説を作成したり、マーケティングキャンペーン向けに魅力的なキャッチフレーズを生成したりと、多彩な業務に対応が可能です。
全体の作業時間を短縮し、ChatGPTでは精度が下がりがちな校正やアイデア出しといった作業もクオリティを高められるでしょう。
もちろん多言語対応しているため、翻訳作業の自動化や英語論文の翻訳でも有用です。
議事録作成・文字起こし
会議の録音データを文字起こしして、議事録化する際もChatGPT APIは有用です。
具体的には、録音データをWhisperで文字起こしし、それをChatGPT APIに渡して要約、ポイント整理、またはアクション項目をリストアップするプロセスを自動化できます。
従来は人間の手で行うのが基本であったため、聞き取り漏れや誤植が多く、情報整理のために人員を割く必要もありました。しかしChatGPT APIであればこれらを一度に解消することが可能です。
プログラミングコード生成・修正
ChatGPT APIでは、プログラミングコードの生成・修正も効率化が可能です。API抜きでコーディングするよりも高精度かつ業務内容にマッチした回答を生成してもらえるため、新入社員の学習からベテランの補助まで幅広くカバーできるでしょう。
LPやコーポレートサイト、アプリ開発といった業務を任せられ、必要に応じてセルフチェックさせることで、半自動的にコーディングのクオリティを高められます。
マニュアル作成
言語処理能力に長けたChatGPTはマニュアル作成などでも重宝されており、APIを組み合わせることでより精度が向上します。
初めに対象となる業務やシステムの情報をAPIに提供すれば、わかりやすい文章で手順やガイドラインを生成することが可能。複雑な内容を簡潔かつ構造的に整理し、見出しや箇条書き形式での出力もワンストップで対応できます。
専門用語を簡単な表現に変更したり、読者に応じた言葉遣いに調整したりすれば、新入社員の教育にも役立つのではないでしょうか。なお、更新が必要な部分をピンポイントで直せる点も、API連携の利点と言えます。
言語の翻訳
ChatGPT APIを利用すれば、多言語翻訳の作業も効率的に行えるでしょう。
特に、文脈やニュアンスを重視した翻訳が得意であり、単なる機械的な直訳ではなく、読み手にとって理解しやすい形に整えられるのも魅力の一つ。専門用語や特定分野の文章にも柔軟に対応可能で、技術文書やマーケティング資料などの翻訳にも適しています。
複数の言語間での一括翻訳や、翻訳スタイルのカスタマイズ(フォーマル/カジュアルなど)も行えるうえに、大量の翻訳作業を短時間で完了できます。
自動応対システムの構築
高機能な自動応対システムを構築できる点も、ChatGPT APIの大きな利点です。自然対話形式のチャットボットやカスタマーサポートシステムなどは特に代表的な活用方法であり、すでに多くの企業が導入しています。
質問を読み取って正確に回答したり、複数の選択肢を提示してユーザーが求めているサポートへ誘導したりできるため、顧客満足度の向上にも役立つでしょう。
なお、ChatGPT APIであれば、顧客データやFAQの情報も学習させられます。情報が蓄積されるほどに回答精度が高まり、24時間稼働させれば人的リソースの削減にもつながります。
ChatGPTを含むOpenAIのAPI
OpenAIでは、ChatGPT API以外にも様々なAPIサービスを提供しています。具体的な内容は以下の通りです。
API名 | 概要 |
---|---|
GPT-4o | 複雑なタスクや複数ステップの処理に対応 |
GPT-4o mini | GPT-4oをコンパクト化し、処理速度とコスト効率を向上 |
GPT-4 Turbo | 高い性能で多様なタスクをこなすことができる |
GPT-3.5 Turbo | シンプルなタスクに最適で速くて経済的 |
DALL·E | テキストから画像の生成や編集を可能にする |
TTS(Text-to-Speech) | テキストを自然に近い音声に変換する |
Whisper | 音声データをテキスト形式に変換する |
Embeddings | テキストを数値化して表現できる |
Moderation | テキストが安全であるか、機密情報を含むかを検知する |
GPT base | 指示に依存せず、自然言語やコードの理解・生成が可能 |
o1-preview | 応答の前にじっくりと考える能力が強化 |
o1-mini | o1-previewを軽量化し、スピードとコストパフォーマンスを向上 |
これらのAPIを活用することで、さまざまな業務やプロジェクトを効率化できるでしょう。
たとえば、GPT-4oやGPT-4 Turboは高度な意思決定や複雑なデータ解析のサポートに適しており、GPT-3.5 Turbo、GPT-4o miniは日常的なタスクの自動化やリアルタイム応答に長けています。
ニーズに応じた最適なモデルを選び、APIの導入効果を最大化してみてください。
ChatGPT APIのセキュリティ
ChatGPT APIを企業単位で導入する際、セキュリティは特に気になるポイントでしょう。
実際のところ、OpenAIはユーザーからの送信データが外部漏洩しないように保管されるため、セキュリティ水準については高い信頼性を備えています。
また、API経由で提供されたデータをモデル学習に利用しないように設定(オプトアウト)すれば、ユーザーが意図せぬ情報の流用を防ぐことも可能です。
さらに、OpenAIは詳細なガイドラインを公開しており、組織のポリシーにもとづいてデータの送信範囲を制限したり、ログ記録の管理方法を精査したりすることで、セキュリティをさらに強化できるでしょう。
ガイドラインについてはこちらを参照ください。
ChatGPT APIの料金形態
ChatGPT APIは基本的に有料サービスであり、ChatGPTの入力と出力の度に料金が発生します。
利用料金に関しては、トークン(OpenAIのAPIでテキストを処理する基本単位)の使用に応じて変動する仕組み。日本語の場合は「1文字=約1〜3トークン」で換算されます。
ただ、デフォルトの状態では利用上限が定められていないため、そのままでは使用するほど青天井で料金が重なっていく点には注意した方が良いでしょう。
また、モデルによってもトークンあたりの料金は異なるため、以下の表を参照ください。
モデル | 価格 | バッチ API の価格設定 |
---|---|---|
gpt-4o | 2.50ドル / 100万入力トークン | 1.25ドル / 100万入力トークン |
10.00ドル / 100万出力トークン | 5.00 / 100万出力トークン | |
gpt-4o-2024-11-20 | 2.50ドル / 100万入力トークン | 1.25ドル / 100万入力トークン |
10.00ドル / 100万出力トークン | 5.00 / 100万出力トークン | |
gpt-4o-ミニ | 0.150ドル / 100万入力トークン | 0.075ドル / 100万入力トークン |
0.600ドル / 100万出力トークン | 0.300ドル / 100万出力トークン | |
gpt-4o-ミニ-2024-07-18 | 0.150ドル / 100万入力トークン | 0.075ドル / 100万入力トークン |
0.600ドル / 100万出力トークン | 0.300ドル / 100万出力トークン |
なお、ChatGPT APIの料金については以下の記事でも詳しく紹介しています。
ChatGPT APIの無料使用方法
ChatGPT APIはすべて有料プランとなっていますが、5ドル分(2,500トークン)は無料で使えます。初めから課金するのはリスキーではあるものの、この仕組みがあることで試運転が可能になり、自社に合っているかを安全に判断できるでしょう。
具体的な手順としては、OpenAIの公式サイトでアカウントを作成し、トライアルを開始するのみ。有効期間は登録から3カ月間と長い一方、期限内に使い切らなければ失効する点には注意が必要です。
加えて、トライアル期間終了後やクレジットを使い切った後は、自動で通常の料金体系が適用されるため、残高と有効期間はこまめにチェックし、必要に応じて解約か継続を判断してください。
ChatGPT APIの費用節約方法
ChatGPT APIの費用を節約するには、まず適切なAIモデルを選ばなければなりません。GPT-4は高性能ですが、その分料金も高いため、簡単なタスクであれば安価なモデルの方が費用対効果が高まるかもしれません。
次に、最大トークン数を設定し、無駄なトークン商品を抑えましょう。また、入力文字数が多いほどトークンを多く消費するため、リクエスト内容は要点を簡潔にまとめることも重要です。
さらにAPIは英語の方がトークン効率が良いため、英語に翻訳してからプロンプトするのがおすすめ。実際に利用する際は、これらを組み合わせて効率的に費用を節約してみてください。
ChatGPT APIの料金確認方法
ChatGPT APIの料金は、以下3つの手順で確認できます。
- 公式サイトからAPIにログインする
- ダッシュボードからUsageをクリックする
- 料金を確認する
まずは、OpenAIの公式サイトから「ChatGPT API」にログインしましょう。その際はアカウント作成時に使用したメールアドレスとパスワードが必要です。
右のAPIをクリックし、右上にあるダッシュボードを選びます。
次に下記の画面の左メニューバーにある「使用法」を押すと下記画面が表示されます。右横の画面で確認することが可能です。
ChatGPTの料金確認方法については以下の記事でも詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
ChatGPT APIの使い方
ChatGPT APIの構築手順は業務内容やAPIの種類によって異なりますが、導入自体はそこまで難しくありません。
- アカウント開設
- ChatGPT API keyの取得
- カード登録
- ChatGPT API keyで呼び出す
上記の手順を踏まえ、スムーズに導入してみてください。
また、より詳しい使い方に関しては、こちらも記事(準備中)もご覧ください。
①アカウント開設
まずはOpenAI社の公式ページにアクセスし、画面右上の「Sign UP」からアカウントを開設します。
もしすでにアカウントを持っている場合は、そのままログインすれば問題ありません。
②ChatGPT API keyの取得
ログインが完了すると、画面左にメニューバーが表示されるので、下部にある「APIキー」をクリックして以下の画面にアクセスします。
「新しい秘密 鍵を作成する」をクリックし、API keyを取得しましょう。
そして、下記の画像はキーの取得画面です。名前やオプションは自由に設定できますが、ここではデフォルトの設定で、画面右下の「秘密鍵を作成する」をクリックします。
すると、英数字の文字列が表示されます。これが「ChatGPT API key」になります。API keyは決して他人に教えないように注意しましょう。
③カード登録
次にクレジットカードの登録を行いましょう。左メニューの「請求する」をクリックすると下記の画面が表示されます。現在は無料トライアルですが「支払いの詳細を追加する」を選びます。
次に、個人利用か会社利用の選択が表示されるので、当てはまる方を選択してください。
最後に以下でクレジットカード情報を入力すれば完了です。
ここまでは数分程度で完了するため、上記の手順を押さえておけばスムーズに進められるのではないでしょうか。
④ChatGPT API keyで呼び出す
次に、作成したAPIキーを使用して、自社のアプリケーションやシステムにChatGPT APIを導入します。ChatGPT APIで用いる「登録用のコード」と「呼び出すコード」は以下の通りです。
【登録用のコード】
setx OPENAI_API_KEY “your-api-key-here”
【呼び出すコード】
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
completion = client.chat.completions.create(
model=”gpt-4o-mini”,
messages=[
{“role”: “system”, “content”: “You are a poetic assistant, skilled in explaining complex programming concepts with creative flair.”},
{“role”: “user”, “content”: “Compose a poem that explains the concept of recursion in programming.”}
]
)
print(completion.choices[0].message)
参照:OpenAI社「Developer quickstart」
上記はテンプレートとして保存しておくと良いでしょう。
ChatGPT APIをPythonで呼び出す方法
ChatGPT APIをPythonで呼び出すには、必要なモジュールをインストールし、APIキーを設定した上でコードを記述する必要があります。具体的な手順は以下の通りです。
- OpenAIライブラリをインストールする
- APIキーのセットアップ
- PythonコードでAPIを呼び出す
まず、Python環境にOpenAIの公式ライブラリをインストールします。ターミナルまたはコマンドプロンプトで実行してください。
pip install openai
次にセキュリティを考慮して、APIキーは環境変数に設定します。以下のコードを使い、生成したAPIキーをセットアップしてください(your_api_key_hereを実際のAPIキーに置き換えます)。
import osos.environ[‘OPENAI_API_KEY’] = ‘your_api_key_here’
次に、PythonコードからAPIを呼び出すためのサンプルコードを書きます。
import openaiimport os
openai.api_key = os.environ[“OPENAI_API_KEY”]
prompt = “こんにちは、私の名前は”model = “text-davinci-002”
response = openai.Completion.create( engine=model, prompt=prompt, max_tokens=5)print(response.choices[0].text.strip())
上記のコードは、OpenAIモジュールをインポートしてAPIキーを設定し、関数を使用してAPIを呼び出すためのものです。
modelパラメーターには使用モデルの名前を入力し、promptパラメータには、モデルに与える入力テキストを挿入しましょう。
ChatGPT APIをExcelで使う方法
ExcelでAPIを使いたいなら、無料の「ChatGPT for Excel」というExcelのOfficeアドインを追加すれば簡単に設定できます。
「ChatGPT for Excel」を追加した後は、ホームタブ右端下部にある作業ウィンドウ内にOpenAIで作成したシークレットキーを入力すれば、連携できます。
【最新モデル】ChatGPT-4oのAPIの特徴
次は、最新の言語モデル「GPT-4o」のAPIが持つ特徴を紹介します。
- 従来の5倍のレート制限
- Turboよりも安価な料金プラン
- 高水準のスペック
- ハイスペックな反応速度
同モデルは特に性能が高いため、API導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
従来の5倍のレート制限
GPT-4oのAPIは、従来比5倍のレート制限が特徴で、最大毎分1000万トークンの処理が可能です。
大幅な性能向上によって、大規模なアプリケーションやサービスにおける大量のデータ処理もスムーズにこなせるようになりました。そのため、高速かつ高精度で運用したい企業にとっては最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
Turboよりも安価な料金プラン
GPT-4oはGPT-4 Turboの半額の料金設定で提供されており、大変コストパフォーマンスに優れています。
具体的には、1Mトークンあたり入力で5ドル、出力で15ドルといった低価格で、複雑なタスクや長文処理もコストを抑えて行える点が特徴です。
高水準のスペック
ChatGPT-4oのAPIは、テキスト生成、推論、コーディング能力において、GPT-4 Turboと同等の高いパフォーマンスを維持しています。
たとえば、多言語対応の高度な会話システムや、音声・画像データを活用した解析、情報密度の高い回答生成などが大きな利点です。
ChatGPT-4oの登場によってAI活用のシーンは劇的に拡大し、より多くの分野で活用されるようになりました。
ハイスペックな反応速度
GPT-4oは、GPT-4 Turboに比べてトークン生成速度が2倍に向上しており、複雑なタスク処理や対話型アプリケーションでの生成速度も一定の水準を保っています。
リアルタイム応答が求められるチャットボットの構築では特に有用性が高く、単純な回答生成もスピーディーにこなせるでしょう。
上記の通り、GPT-4oは性能、コスト効率、生成速度のバランスにひいでたモデルと言えます。
ChatGPT APIを効率的に使うコツ
ChatGPT APIを効率的に使うコツは以下の3つです。
- 無料トライアルから試す
- 過去のやりとりを闇雲に実装しない
- できる限り英語でトークン数を抑える
それぞれ詳しく解説します。
無料トライアルから試す
ChatGPT APIを導入する際は、初めに無料トライアルで使用感を試してみましょう。
無料トライアルでは一定の使用量まで料金が発生しないうえに、APIの性能や料金体系を本番環境で使うことが可能です。
トライアル期間中であれば、業務負荷やコストも安全に試算できるため、費用対効果を見定めたい場合などは積極的に活用してみてください。
過去のやりとりを闇雲に実装しない
ChatGPT APIを効率的に使うには、過去のやりとりを闇雲に実装しないようにしてください。
APIでは文脈を理解させるために、過去の投稿と応答をmessagesパラメータにセットしますが、無計画に増やすとトークン消費が増加し、料金が高くなります。
また、messagesパラメータにはサイズ上限があり、これを超えると応答や投稿に影響が出る可能性もあるためです。本当に必要な文脈だけを効率的に選び、最小限のやり取りで文脈を生成しましょう。
トークン使用量を抑える2つの方法
ChatGPT APIでトークン使用量を抑えるには、主に以下2つの方法があります。
- messagesパラメータに含める回答数を制限する
- max_tokensの上限を設定する
まず、過去のやり取りをすべてmessagesパラメータに含めるのではなく、必要最低限、例えば直近の3回分程度に絞ることで、トークンの消費量を削減できます。
次に、API応答のトークン数を制御するmax_tokensパラメータを活用して、応答文を短く抑えれば、全体のトークン消費量を減らすことも可能。ただし、max_tokensを小さく設定しすぎると回答が不完全になる可能性があるため、必要に応じて再リクエストするなど、柔軟に使用しましょう。
できる限り英語でトークン数を抑える
ChatGPT APIを効率的に使うには、できる限り英語プロンプトしてトークン数を抑えましょう。英語は1単語1トークンで処理されるため、ひらがなや漢字を含む日本語に比べてトークン消費が少なくなります。
たとえば、ひらがなでは1文字1トークン以上、漢字では2〜3トークンが必要になるため、文章全体でみると消費量が大きく異なります。
そのため、英語に翻訳してからAPIリクエストを送り、英語の応答を再び日本語に翻訳するのがおすすめです。
なお、オンライン翻訳ツールだけでなく、ChatGPT自体も優秀な翻訳機能を備えているので、ぜひ活用してみてください。
ChatGPT APIを導入するメリット3つ
ChatGPT APIを導入するメリットは以下3つです。
- ChatGPTをファインチューニングできる
- 業務の生産性を向上できる
- 業務の自動化で人件費を削減できる
ChatGPT APIを最大効率で利用するためにも、ぜひ参考にしてください。
ChatGPTをファインチューニングできる
ChatGPT APIを導入するメリットの一つは、ChatGPTをファインチューニングできる点です。ファインチューニングとは、事前に学習済みのChatGPTモデルに自社のオリジナルデータや業界知識を追加で学習させる技術を指します。
ChatGPTは2023年4月までのデータを学習しているものの、それ以降の新しい情報や特定用途に特化した知識は持っていません。
しかし、ファインチューニングを行えば、モデルを自社仕様に最適化できます。
たとえば、独自の専門用語を理解するAIアシスタントや、特定の問い合わせ対応に特化したカスタマイズなども行えるでしょう。
ChatGPTのファインチューニングについては以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
業務の生産性を向上できる
ChatGPT APIを導入することで、複雑なタスクを迅速かつ正確に処理でき、業務の生産性が向上するでしょう。
資料の要約やデータ解析、問い合わせ対応など、人的リソースと時間を要する業務を効率化することで、従業員はより重要度が高いコア業務に集中できます。
また、APIなら24時間対応のサービス提供も可能となり、企業の応対品質向上にも役立ちます。
業務の自動化で人件費を削減できる
ChatGPT APIで業務を自動化すれば、人的リソースを最適化して無駄な人件費を削減できます。
ルーチンワークやカスタマーサポートは人手を要する一方、生成AIでも十分に賄えるため、積極的に移管してみてください。
なお、残業代や深夜手当、休日手当などのエキストラコストも抑えられるため、従業員が多い企業ほど費用対効果は高まるでしょう。
ChatGPT APIを導入する際の注意点
ChatGPT APIを導入する際は以下の3点に注意しましょう。
- 情報漏洩に注意する
- 誤った情報を生成するケースもある
- 料金に限度はない
それぞれ詳しく解説します。
情報漏洩に注意する
ChatGPT APIを導入する際は、ユーザーが入力した情報や生成された回答が外部に漏れるリスクにも注意が必要です。
基本的にChatGPTは与えられた情報をインプット・流用するように作られているため、機密性の高いデータや個人情報を入力してはいけません。そのため、暗号化やアクセス制限は不可欠となります。
また、OpenAI社が定めるプライバシーポリシーや利用規約を確認し、データがどのように利用され、どのくらいの期間保存されるのかを理解したうえで、法規制に沿った対策を講じましょう。
誤った情報を生成するケースもある
ChatGPTは高精度な回答を生成する能力を持つ一方、生成された情報が必ずしも正しいとは限りません。
そのため、生成された内容をそのまま利用するのではなく、人間の手で事実確認を行いましょう。特にChatGPT APIをビジネス利用する際は、誤った情報で会社の信頼性を低下を招く恐れもあります。
コンテンツの品質を担保するために、従業員向けのチェックマニュアルなども作ってみてください。
料金に限度はない
ChatGPT APIは従量課金制を採用しているため、利用頻度や生成トークン数に応じて費用が増加します。つまり、料金に制限はなく青天井であるということです。
このため、適切な予算管理を行わないと、想定以上のコストが発生する可能性もゼロではありません。利用制限やマニュアルを策定し、従業員が過度に使用しないように対策しておきましょう。
ChatGPT APIとの連携がおすすめのツール5選
ChatGPT APIとの連携がおすすめのツールは以下の5つです。
ツール名 | 用途 | 料金 |
---|---|---|
kintone | タスク管理を効率化 | ライトコース:1,000円/月スタンダードコース:1,800円/月ワイドコース:3,000円/月※全て1ユーザーあたりの価格 |
Slack | 連絡体制を強化 | Freeプラン:無料(機能制限あり)プロ:925円/月ビジネスプラン:1,600円/月Enterprise Grid:要問い合わせ |
MoneyForward | 経理業務の自動化 | スモールビジネスプラン:2,980円/月(利用者3名以上の場合)ビジネスプラン:4,980円/月(利用者4名以上の場合) ※小規模〜中小企業向け |
Miro | 大人数のプロジェクト共有を効率化 | Freeプラン:無料Stater:8ドル/月Business:16ドル/月Enterprise:要問い合わせ |
Wit.ai | チャットボット開発を加速 | 要問い合わせ |
それぞれ詳しくみていきましょう。
kintone|タスク管理を効率化
kintoneは、業務プロセスの効率化を支援するクラウド型プラットフォームで、データベース、タスク管理、CRM、プロジェクト管理など幅広い機能を提供しています。
kintoneとChatGPT APIを連携させることで、タスク管理の効率を向上させることが可能です。
kintoneのアプリに登録されたタスク情報をChatGPTに自動取得・更新させれば、進捗状況の報告やリマインダー通知をオートメーション化できます。
また、自然言語を活用してタスクの入力や検索が行えるため、経験値の浅いユーザーでも簡単に必要な情報をピックアップできるでしょう。
Slack|連絡体制を強化
Slackは、チーム間の円滑なコミュニケーションを支援するビジネス向けのチャットツールです。メッセージング、ファイル共有、通知管理などの機能を提供しています。
そして、SlackとChatGPT APIを連携させることで、チームの連絡体制を強化することが可能。Slack上でChatGPTが自動的に質問に回答したり、タスクや会議のリマインダーを送信したりすることで、企業全体の情報共有と意思決定のスピードが向上します。
MoneyForward|経理業務の自動化
MoneyForwardとChatGPT APIを連携させれば、経理業務の自動化につながります。
MoneyForwardは経理・財務業務を効率化するためのクラウド型サービスであり、経費精算、請求書管理、財務分析などを自動化すれば、バックオフィスのメンバーもより重要度の高い業務に専念できるでしょう。
また、請求書の内容を確認したり、必要なデータから自動生成したりする作業も効率化されるので、ヒューマンエラーの防止効果も得られます。
Miro|大人数のプロジェクト共有を効率化
Miroは、オンラインでのコラボレーションを促進するホワイトボード型プラットフォームです。
チームがアイデアを共有し、プロジェクトの進捗を視覚的に管理できるツールであり、ChatGPT APIを連携させることで、大人数でのプロジェクト共有が効率化されます。
具体的には、ミーティング中にChatGPTがリアルタイムで議論内容を要約し、重要なアクションアイテムを抽出してMiroボードに自動追加することで、議事録作成の手間を省けるでしょう。
また、Miro上のプロジェクト進捗を自然言語で問い合わせると、ChatGPTが即座に進捗状況を確認し、次のステップや優先すべきタスクを提案します。
Wit.ai|チャットボット開発を加速
Wit.aiはFacebookが提供する自然言語処理(NLP)プラットフォームで、音声やテキストを解析して意図を理解する機能を備えています。
そして、ChatGPT APIを連携させることで、ユーザーの発話や入力テキストを分析し、意図や必要なデータを抽出した後、そのデータをChatGPTに渡せるようになります。
結果的に、より高度で自然な会話をユーザーに提供できるでしょう。
加えて、ユーザーの質問に的確に回答するだけでなく、文脈の理解度も向上します。つまり、顧客にとっての利便性も向上するということです。
無論、他言語対応かつカスタマイズ性も充実しているため、高機能なチャットボットを構築したい方にはおすすめです。
ChatGPT APIの活用事例
最後にChatGPT APIを活用した事例について紹介します。自社のモデルになるようなパターンを知り、API導入の効果をより具体的にイメージしてみてください。
議事録作成の大幅な効率化
ChatGPT APIを活用すれば、会議内容をリアルタイムで文字起こしできるようになり、ほぼ自動で要約や議事録が作れるようになります。
たとえば、議事録・メモ作成の要約ツール「ログミーツpowered by GPT-3/4」では、ZoomやTeamsなどの会議内容を記録し、要点を整理して共有可能な形式にまとめることが可能です。
このツールは議事録作成にかかる時間を削減しつつ、精度の高い回答が得られるため、200以上の地方自治体や大手企業でも活用されています。
顧客からの問い合わせ回答を自動生成
ChatGPT APIを活用することで、顧客対応のスピードと質を向上させるチャットボットをスピーディーに構築できます。
具体的に「MediaTalkGAI」などのツールでは、独自データをもとに学習したAIが顧客からの質問に対して的確な回答を生成するため、問い合わせ対応の負担が大幅に軽減され、迅速な対応が可能になるでしょう。
また、アップロードされた資料をもとに回答を生成する機能もあり、FAQの作成時間を削減しつつ、顧客満足度の向上にもつながります。
社内の情報管理・検索を効率化
ChatGPT APIを使えば、社内情報の管理・検索システムが効率化し、従業員が必要な情報へスピーディーにアクセスできるようになります。
代表的なところとしては、「ChatPro」などが挙げられるでしょう。SlackやTeams、Notionといったツールから自動的にナレッジを集約し、簡単に検索できる形式で提供してもらえます。
なお、情報検索は通常の対話形式で行えるので、専門用語や社内事情に不慣れな新入社員などでも容易に使える利点もあります。
プレスリリースの自動化
ChatGPT APIは、企業のプレスリリース発行にも役立ちます。
提供されたデータや資料をもとに、AIが構成や文章のスタイルを調整し、ほぼ自動的にプレスリリースを生成してくれます。そのため、広報担当者の負担が大幅に軽減されるだけでなく、内容の一貫性や精度も向上するのです。
情報は鮮度が命ですから、自社の魅力やPRをスピーディーに発信することで、マーケティング効果の向上にもつながるでしょう。
ChatGPT APIで業務効率化とコスト削減の両方を叶えよう
本記事では、ChatGPT APIの概要や特徴、メリットや注意点などを詳しく解説してきました。
ChatGPT APIでアプリケーションやシステムと連携させれば、業務効率や顧客満足度、人件費の削減といった幅広いメリットが期待できます。そして、APIを効率的に利用するコツは以下の通りです。
【ChatGPT APIを導入するメリット】
- 無料トライアルから試す
- 過去のやりとりを闇雲に実装しない
- できる限り英語でトークン数を抑える
本記事を参考にChatGPT APIを導入し、業務の効率化とコスト削減を実現してみてはいかがでしょうか。