リサーチは、企画書づくりや提案資料の準備において不可欠です。しかし、次のような悩みを抱えている方も多いでしょう。
「欲しい情報がまったく出てこない」
「内容が難しく、検索結果をまとめるだけで数時間かかってしまう」
このような悩みを解決できるのが、GeminiのDeep Research(ディープリサーチ)です。
そこで今回は、Gemini Deep Researchの使い方や料金、活用方法を解説します。
【記事を読んで得られること】
- Gemini Deep Researchの機能と活用方法
- 無料プランと有料プランの違い
- 使用時の注意点やトラブル時の対処法
リサーチ業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
GeminiのDeep Research(ディープリサーチ)とは

Gemini Deep Researchは、Googleが開発した、調べものを効率よく進めるためのAI機能です。
入力したテーマをもとに関連語を広げて調べ、複数の情報源を参照しながら要点をレポート形式でまとめます。
検索窓に入力するだけでは見つけづらいデータも拾い上げるため、作業時間の短縮はもちろん、説得力のある企画立案にも役立つでしょう。
出力の後半には参照元のリンクが掲載されるため、WebページやPDFに戻って情報が正しいかどうかを確認しやすい点も特徴です。
Gemini Deep Research APIとの違い
Gemini Deep ResearchとGemini Deep Research APIは、利用する目的と対象ユーザーが異なります。
Gemini Deep Researchは、Gemini上でテキストボックスに指示を入力し、調査内容をレポートとして生成する機能です。
対してGemini Deep Research APIは、開発者がアプリやシステムの中に同機能を組み込むための仕組み(API)です。
たとえば、自社の社内ポータルに「自動調査ボタン」を設置したい場合などにAPIが使われます。
Gemini Deep Researchの主な活用事例

Gemini Deep Researchの主な活用事例は、以下の7つです。
- 市場調査
- 競合分析
- 商品などの比較・検討
- Webページの構築
- フラッシュカードやクイズの作成
- レポートの可視化
- 音声解説
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1. 市場調査
新事業の可能性を探る際や未知の分野へ参入する前の市場調査において、Deep Researchは役立ちます。
新規参入を検討する業界について、次のような項目を指定して調査すれば、自社が目指すべき方向性を判断しやすくなります。
- 需要の動き
- 価格帯
- 販路
- 利用者の不満
- 似たサービスのつまずき例
さらに「統計や業界団体の資料を優先して」「数値は年度と出典を付与して」と指示を出せば、社内で確認しやすい報告書に仕上がるでしょう。
2. 競合分析
競合企業の戦略や強みをまとめた詳細な分析レポートも、Deep Researchを活用すれば容易に作成できます。
ゼロから情報を集めて構成を考える時間を省けるため、担当者は差別化を図るための施策を考える業務に時間をかけることが可能です。
3. 商品などの比較・検討
業務効率化ツールの導入や高額な機材購入では、Deep Researchが比較のたたき台づくりに活用できます。
検討候補となる製品の公式サイトや技術仕様書、利用者の口コミなどを横断して拾い、機能の違いと費用面の差を項目別にまとめてくれます。
あわせて「評価軸を決めて5段階で採点してほしい、根拠も入れて」などと指示すると、視覚的に判断しやすいレポートになるでしょう。
4. Webページの構築
Deep Researchを使えば、調査レポートを社内Wikiやオウンドメディア向けのページに変換することも可能です。
リサーチ完了後のメニューの「作成」からWebページを選ぶと、レポート内容をもとにHTMLが出力されます。
テキストの羅列ではなく、見出しや箇条書きなども組み込まれ、Webブラウザで見た際に読みやすいレイアウトへ整えてくれる点が特徴です。
HTMLやCSSの知識がない人でも、生成されたコードを使用すれば、体裁の整ったWebコンテンツをすぐに発信できます。
5. フラッシュカードやクイズの作成
Gemini Deep Researchでまとめた情報をもとに、フラッシュカードやクイズを自動で作れます。社内研修の理解度チェックや、資格勉強の復習に使いやすい機能です。
実際にAIをテーマにDeep Researchを実施したうえでクイズ生成を試すと、次のような3択問題が10問出力されました。
- 「機械学習(Machine Learning)」の説明として最も適切なものはどれですか?
- 「教師あり学習」において、AIモデルの学習に使われるデータの特徴は何ですか?
作問の参照元を確認できるため、最終的な正誤はリンク先を見て人の目で確かめましょう。
6. レポートの可視化
文字だけでは理解しづらい複雑なデータや関係性を、一目でわかる図解やグラフなどのインフォグラフィックへ変換できます。
数千文字に及ぶレポートを読み込む時間がなくても、視覚化された情報であれば要点をすぐにつかめるでしょう。
生成されたデータはWebサイトへ埋め込めるHTMLとしても出力されるため、社内ポータルの共有資料や記事の補足画像として使えます。
7. 音声解説
完成したリサーチレポートを基に、音声解説コンテンツを生成できます。
音声の生成には数分ほどかかりますが、生成が終わるとスマホへ通知が届くため、別の作業をしていても仕上がりを把握しやすいです。
AIを題材に試したところ、男女の話し手がラジオ番組のように進行する約5分の音声が生成されました。
通勤や家事の合間などに聞き流せるので、まとまって読む時間を確保しづらい人にも適しています。
Gemini Deep Researchの使い方

Gemini Deep Researchの使い方は、以下の7ステップです。
- Googleアカウントを作成する
- Geminiにアクセスする
- テキストボックスに指示を入力する
- ツールからDeep Researchを選ぶ
- ソースやファイルを追加する
- リサーチ計画を確認・編集する
- 出力結果を共有・活用する
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
STEP1:Googleアカウントを作成する
まず、Googleアカウントを準備しましょう。ログイン画面へアクセスし、「アカウントを作成」から必要事項を入力してください。
用途の選択肢が表示されたら、「個人で使用」を選びましょう。
「仕事/ビジネス用」を選ぶと、独自ドメインなどの設定が関わり、登録手順が増えてしまいます。
続いて、登録する氏名や生年月日を正しく入力してください。
誤った情報を登録すると将来的に本人確認が必要になった際、アカウントが使用できなくなるリスクがあるため、注意が必要です。
STEP2:Geminiにアクセスする
作成したアカウントでGeminiへ入ります。検索エンジンで「Gemini」と検索する、あるいはChromeのトップページ右上のメニューからアクセス可能です。
今後も頻繁に使用する予定なら、ブックマークしておくとよいでしょう。
STEP3:テキストボックスに指示を入力する
Geminiのトップ画面を開いたら、画面下部のテキストボックスに調べたい内容を入力します。
その際、ただキーワードを入れるのではなく、AIに依頼するつもりで具体的な文章を入力するのがコツです。
たとえば「新規事業の検討材料として、生成AI市場の成長率、導入が進む業務、国内の活用例をまとめて」のように詳しく伝えてください。
背景や目的を明確にすることで、AIが意図を正しく理解し、求めている回答に近いレポートを作成してくれます。
STEP4:ツールからDeep Researchを選ぶ
テキストボックスにある「ツール」から「Deep Research」を選択します。
なお、選択中のモデルによっては、Deep Researchが表示されない場合があります。
見当たらないときは、別のモデルに切り替えてみましょう。
STEP5:ソースやファイルを追加する
調べたい対象が決まっている場合は、テキストボックス下部の「ソース」または「ファイル」から資料として添付します。
社内の過去レポートや特定の学術論文などをソースにすれば、それらの内容を踏まえたより深い分析結果が期待できます。
機密情報が含まれる資料は、必要な箇所だけ抜き出すか、個人名や社名を伏せてから使いましょう。
特に追加する資料がない場合は、この手順をスキップして「送信」を押してください。
STEP6:リサーチ計画を確認・編集する
調査を開始する直前に、AIが作成した「リサーチ計画」が表示されるので、その内容をチェックします。
Geminiは入力された指示を解釈し、「どのような項目を」「どういった視点で」調べるかという方針を提示してくれます。
意図と異なる点や追加で調べてほしい要素があれば、「計画を編集」ボタンを押して計画を修正してください。
提示されたプランで問題がなければ、「リサーチを開始する」ボタンをクリックします。
STEP7:出力結果を共有・活用する
リサーチが完了しレポートが生成されたら、その情報を業務や学習に役立てていきましょう。
ここからは、生成された結果を使って実行できる「共有・エクスポート」と「作成」の2つの機能について解説します。
共有とエクスポート
「共有とエクスポート」で使える機能は、次の3つです。
- 共有
- Googleドキュメントにエクスポート
- 内容
「共有」を選ぶと閲覧用リンクが発行され、リンクのURLを知っている人はブラウザでレポートを確認できるようになります。
「Googleドキュメントにエクスポート」を使えばドキュメントとして保存して、追記や修正することも可能です。
「内容をコピー」では本文をクリップボードへコピーできるため、メールやチャットに貼り付けて共有できます。
作成
レポートの内容を元にして、以下5つの形式でデジタルコンテンツを生成できます。
- Webページ
- インフォグラフィック
- クイズ
- フラッシュカード
- 音声解説
用途に合わせて、情報を最適な形へ変換しましょう。
無料で使える?Gemini Deep Researchの料金プラン

Gemini Deep Researchが使える料金プランは、主に以下の3つです。
- 無料プラン
- Google AI Pro
- Google AI Ultra
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
無料プラン
無料プランでは、月5回までGemini Deep Researchを利用できます。
まずは無料で動かし、レポートの品質を確かめてみてください。
「利用回数が足りなくなった」「調査の粒度を上げたい」といったタイミングで有料プランに切り替えを検討するとよいでしょう。
Google AI Pro
Deep Researchを手頃な価格で普段使いしたいなら、Google AI Proが最適です。
無料版では月5回しか使えなかったDeep Researchが、同プランでは月額2,900円(税込)で1日20回まで利用できます。
納得いくまで検索条件を変えて調べ直したり、複数のテーマを並行して調査したりといった柔軟な使い方が可能です。
加えて、無料プランではできなかったGemini 3 Proモデルを用いたDeep Researchも実行できます。
より精度の高い分析結果を求めている方にとって、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえるでしょう。
Google AI Ultra
Deep Researchを大量に使う前提なら、Google AI Ultraが適しています。
月額36,400円(税込)と高額ですが、ProモードのDeep Researchで1日200回までレポートを生成できます。
大規模な市場調査でレポートを連続生成したり、チーム全体の課題を一人で集中的に処理したりしても、制限に引っかかることはほぼありません。
最新鋭の推論モデルが優先的に割り当てられるため、難解なテーマでも精度の高い分析結果が期待できるでしょう。
Gemini Deep Researchを使ううえでの注意点

Gemini Deep Researchを使う際は、以下の3点に注意してください。
- 回数制限がある
- 調査に時間がかかる
- 誤った情報が混じることがある
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
回数制限がある
Gemini Deep Researchには、プランごとに作成できるレポートの数に上限が設定されています。
とくに無料プランを利用する場合は注意が必要で、Deep Researchを月5件までしか行えません。日常的な業務で頻繁に活用する場合には、少々心許ないでしょう。
本格的に仕事で使うなら、1日あたり20件まで作成可能なGoogle AI Pro以上のプランを検討してみてください。
Gemini Deep Researchの利用回数が上限に達すると「〇月▼日 △△:××にリセットされるまで…」という通知が届き、それまでは別のモデルに切り替わります。
いざという時に使えない事態を避けるためにも、契約プランと残りの回数を意識しながら計画的に利用することが求められます。
調査に時間がかかる
Deep Researchは、通常のチャットのように回答が即座に返ってくるわけではありません。
裏側で複数のWebサイトを巡回し、膨大な情報を読み込んで分析を行うため、完了までに相応の時間がかかります。
一般的には、5~30分程度でレポートが完成しますが、調査内容が複雑だったりサーバーが混雑していたりすると長引くこともあります。
Deep Researchは締め切り直前に使うのではなく、前日までに実行するか、調査テーマを分けて段階的に進めるのがよいでしょう。
誤った情報が混じることがある
出力されたレポートは読みやすく正確な情報のように見えますが、書かれている内容が100%正しいとは限りません。
AIはWeb上に存在する情報を収集してまとめますが、参照元の記事自体が間違っていたり、古いデータだったりする可能性があるためです。
翻訳を挟む場合では、専門用語の訳し方しだいでまったく別の概念に見えることも考えられます。
また、AIが文脈を読み違えて、事実とは異なる解釈を加えてしまう「ハルシネーション」と呼ばれる現象もゼロではありません。
そのため、ビジネスの意思決定や対外的な発表資料として使う場合には、必ず人の目によるファクトチェックを行う必要があります。
レポートには情報の出典がリンクとして記載されているので、元のサイトにアクセスして一次情報を確認する習慣をつけましょう。
Gemini Deep Researchの使用時にありがちなトラブル

Gemini Deep Researchを使う際に、よく起こるのが次のトラブルです。
- Gemini Deep Researchが使えない
- Gemini Deep Researchが消えた
- Gemini Deep Researchが終わらない
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
トラブル例①:Gemini Deep Researchが使えない
Gemini Deep Researchが使えないときは、まず利用上限に達していないかどうかを確認してください。
上限に問題がなければ、一時的な不具合や混雑が原因かもしれません。時間帯をずらして試すと通る場合があります。
次に確認したいのが、アカウント設定です。組織の管理者が機能を制限している可能性があるため、個人のGoogleアカウントに切り替えて試してみてください。
また、VPNなどの特殊な通信環境が邪魔をしているケースも少なくありません。
ネットワークを通常回線に戻し、それでも解決しない場合は、ブラウザの再読み込みやキャッシュ削除といった対処法を順に試していきましょう。
トラブル例➁:Gemini Deep Researchが消えた
Geminiの画面にあった「Deep Research」ボタンが見当たらず、なくなったように感じるケースもあります。
多くは、選択しているモデルや画面表示の仕様が関係しています。
ボタンが見つからないときは、まずは別のモデルに切り替え、ツール欄に「Deep Research」が出るか確認してください。
トラブル例③:Gemini Deep Researchが終わらない
Gemini Deep Researchが終わらない場合、処理が止まったのではなく、画面が更新されていない可能性があります。
まずは「Ctrl」と「F5」を同時に押してページを強制的に再読み込みし、表示が切り替わるか確認してみてください。
裏側ではすでにレポートが完成しており、リロード後に結果が表示されるケースもあります。
改善しない場合は、質問内容を分けて処理の負荷を下げるか、アクセスが集中する時間帯を避けて再実行するとよいでしょう。
Gemini Deep Researchに関するよくある質問

Gemini Deep Researchに関する以下のよくある質問に回答します。
- ChatGPTとGeminiのDeep Researchを比較すると?
- Gemini Deep Researchは無料で何回まで使える?
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ChatGPTとGeminiのDeep Researchを比較すると?
OpenAIが提供するChatGPTにも同種のリサーチ機能がありますが、料金と上限回数が異なります。
Geminiでは、無料プランで月5回までレポートを生成可能です。
月額2,900円のGoogle AI ProではProモードで1日20件、月額36,400円のGoogle AI UltraではProモードで1日200件が上限に設定されています。
一方、ChatGPTは無料ユーザーが月5回利用でき、PlusとTeamは月25回、Proは月250回まで使えます。料金はPlusが月20ドル、Proが月200ドルです。
Gemini Deep Researchは無料で何回まで使える?
Gemini Deep Researchは、無料で月5回まで使えます。
使い勝手やレポートの内容を確認したい場合は、まず数回試してから利用頻度に合わせてプランを検討しましょう。
Gemini Deep Researchを無料で使ってリサーチを効率化しよう!

本記事では、Gemini Deep Researchの使い方や料金、活用事例について解説しました。
Deep Researchを活用すれば、数時間かかっていたリサーチ業務を数分から数十分に短縮できます。
レポートをもとにWebページやクイズを作成するなど、アウトプットの機会を増やすことも可能です。
【Gemini Deep Researchを導入する際のポイント】
- まずは無料プラン(月5回)で使用感を確かめる
- 調査してほしい項目や背景を具体的に伝える
- 調査が終わらないときはブラウザの更新を試す
まずはGoogleアカウントを作成し、Deep Researchを無料で試してみてください。
AIをうまく活用して業務の効率化を図るには、社内のAIリテラシーを高めることが不可欠です。
基礎からAIを学びたい場合は、最大75%の助成で研修費を削減できる生成AI研修サービスを検討する方法もあります。



