Geminiの活用を検討しているものの、は業務効率化に役立つ生成AIですが、以下のようにセキュリティ面が不安で導入を迷っている企業担当者も多いのではないでしょうか。
「Geminiのセキュリティは安全なのか判断できない」
「無料版と有料版でデータの扱いが違うのか知りたい」
そこで今回は、Geminiのセキュリティリスクと安全に使うためのポイントを解説します。
【記事を読んで得られること】
- Geminiのセキュリティリスクの種類
- 無料版と有料版における学習データの扱いの違い
- Geminiを安全に使用するための対策と注意点
設定方法や業務利用時の注意点も解説しているので、Geminiを安全に活用したい方はぜひ参考にしてください。
Geminiのセキュリティリスクとは

まず、Geminiを業務利用するときに想定される代表的なセキュリティリスクを整理します。
- 入力データの学習・保存による情報漏えい
- 外部サービス連携やプロンプト操作によるデータ流出
- 不正アクセスや管理不備による機密情報の漏えい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
入力データの学習・保存による情報漏えい
Geminiのセキュリティで最初に注意すべき点は、入力した文章やファイルが保存・学習に利用される可能性がある点です。生成AIは、入力内容がサービス改善やモデル学習に使われる場合があり、機密情報をそのまま入力すると漏えいにつながります。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、AI利用に伴うサイバーリスクが組織向け脅威として新たに選出されました。議事録の要約目的で顧客情報を入力し、マスキングをせず送信した事例が現場の失敗例として示されています。
入力データが人による確認や機械学習に使われる可能性を前提に、個人情報・顧客情報・社内資料をそのまま入力しない運用ルールを定めましょう。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」
外部サービス連携やプロンプト操作によるデータ流出
Google Workspaceなど、外部サービスとの連携設定による情報流出にも注意が必要です。拡張機能を有効にすると、GmailやGoogleドライブへAIがアクセスでき、設定範囲を誤ると不要なデータまで読み取られます。
総務省の資料では、制限された情報を出力させる攻撃としてプロンプト・インジェクション(AIに不正な指示を入力して情報を引き出す攻撃)が指摘されています。
連携は必要な範囲だけ許可し、アクセス権限を管理するセキュリティ対策が欠かせません。
不正アクセスや管理不備による機密情報の漏えい
Geminiのセキュリティでは、アカウント管理の不備による情報漏えいも発生しやすい問題です。
なぜなら、退職者のアカウントが残ったままになったり、同じパスワードを使い回したりすると、第三者がGeminiにログインする危険があるからです。
チャット履歴やアップロード資料が閲覧されると、社内資料・顧客情報・議事録などがそのまま外部へ流出する可能性があります。
総務省と経済産業省の『AI事業者ガイドライン(第1.1版)』では、AIを利用するうえで、ガバナンスや監視・アクセス管理を含めた運用体制が必要と示されています。
Geminiを業務で使う場合は、アカウント管理や権限設定・ログ確認を含めたセキュリティ運用をしましょう。
出典:総務省・経済産業省『AI事業者ガイドライン(第1.1版)』
Geminiの無料版と有料版における学習データの扱いの違い

ここでは、セキュリティ観点で確認すべき学習データの扱いの違いを3つ紹介します。
- 無料版ではサービス改善のため入力内容が利用される場合がある
- 有料版や法人向けプランでは入力データが学習に使用されない
- Google WorkspaceやEnterpriseでは管理機能・保護機能が強化される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
無料版ではサービス改善のため入力内容が利用される場合がある
無料版のGeminiでは、入力した文章やファイルが品質改善や機械学習に利用される可能性があるため、業務利用では入力内容の管理が欠かせません。Googleアカウントで使用するGeminiは、プロンプトや会話履歴がモデル改善の目的で保存される場合があるので注意しましょう。
Googleの「Gemini アプリのプライバシーハブ」では、人間のレビュアーが確認したチャットはアクティビティを削除しても残る場合があると説明されています。レビュー対象となったチャットや関連データ(言語・端末情報・位置情報・フィードバックなど)は、最長3年間保存されます。
業務利用では、顧客名や取引情報・社内資料などの機密情報を無料版に入力しないルールを設け、利用範囲を管理しましょう。
出典:Google「Gemini アプリのプライバシーハブ」
有料版や法人向けプランでは入力データが学習に使用されない
有料版や法人向けGeminiでは、入力データがモデル学習に使われない設定が適用されるため、無料版とはセキュリティの扱いが異なります。Google Workspace with Geminiなどの保護機能が有効な環境では、チャット内容やアップロードしたファイルが人による確認や学習に利用されません。
契約時には、enterprise-grade data protectionsが含まれるエディションか確認しておく必要があります。
未公開の事業資料や個人情報を扱う業務でGeminiを使う場合は、無料版ではなく法人向けプランを利用する運用が適しています。
Google WorkspaceやEnterpriseでは管理機能・保護機能が強化される
Workspace環境やEnterprise版では、学習対象の設定だけでなく、組織単位でセキュリティ管理ができます。Googleの公式資料でも、Workspace with Geminiは既存の保護機能と連携して利用できると説明されています。
連携できる機能例
- DLP(情報漏えい防止)
- IRM(閲覧制限)
- クライアント側暗号化
- アクセス権限管理
管理者は管理画面からGeminiの利用状況を確認でき、部署ごとにアクセス範囲の設定が可能です。
退職者アカウントの停止や権限変更もすぐ反映できるため、設定ミスや内部不正による情報漏えいを防ぎやすくなります。
Geminiに学習させないための設定方法

ここでは、Geminiのセキュリティ管理で必ず確認したい3つの設定を説明します。
- Googleアカウントのアクティビティ設定を確認する
- Geminiアプリの履歴保存をオフに変更する
- 不要なデータ履歴を削除して保存期間を管理する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Googleアカウントのアクティビティ設定を確認する
Geminiのセキュリティ対策では、Googleアカウントの保存設定が有効になっているか確認しましょう。無料版を利用している場合、初期状態でアクティビティ保存がオンになっているケースが見られます。
ブラウザでGeminiを開き、「設定とヘルプ」メニューからアクティビティ画面を確認します。
「Gemini アプリ アクティビティ」がオンの場合、会話内容がレビューやサービス改善に使われる可能性があるので注意してください。
業務利用では、社員が個人アカウントでGeminiを使い、機密情報を入力する事故が発生しやすくなります。利用前に設定状態を確認する運用を徹底しましょう。
Geminiアプリの履歴保存をオフに変更する
入力データを学習対象にしないためには、Geminiアプリでアクティビティを手動でオフに変更しましょう。
設定画面でオフを選択すると、以後の対話内容は学習利用の対象から外れます。Googleの説明では、設定をオフにしても、安全性維持のため最大72時間データが保存される場合があると言われています。
ただし、履歴保存を停止すると、過去のチャットが表示されなくなり内容を確認できなくなるので注意が必要です。議事録や検討資料を扱う場合は、必要な内容をローカル保存してから設定を変更してください。
不要なデータ履歴を削除して保存期間を管理する
Geminiのセキュリティでは、保存済みの履歴を削除し、保持期間を短くする設定も必要です。初期設定では、Geminiのアクティビティが長期間保存される場合があります。
アクティビティ画面の削除メニューから、過去1時間・1日・全期間など範囲を指定して履歴を消去できます。履歴保存を有効のまま使う場合は、自動削除の期間を短い設定に変更しておくとリスクを抑えられるでしょう。
保存データが増えるほど、不正ログイン時に閲覧される情報も増えます。定期的に履歴を削除する運用ルールを決めると、Gemini利用時のセキュリティ管理が安定します。
学習させない設定に変更した場合の3つのデメリット

ここでは、Geminiのセキュリティ設定をオフにした場合に発生する3つの影響を整理します。
- 過去のチャット履歴を後から確認できなくなる場合がある
- 一部の連携機能や拡張機能が利用できなくなるケースがある
- 利便性が下がり作業効率に影響する可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
過去のチャット履歴を後から確認できなくなる場合がある
Geminiのアクティビティ保存をオフにすると、過去の会話履歴がサイドバーに表示されず再利用できなくなります。Googleの公式ヘルプでも、保存設定を停止すると履歴が非表示になり、新しい会話も保存されないと説明しています。
企画案の続き作成や以前のプロンプトを再利用する場合でも、履歴が残らないため毎回入力し直さなければなりません。日常的にGeminiを業務で使う環境では、出力結果をドキュメントや共有フォルダに保存する運用を決めておきましょう。
一部の連携機能や拡張機能が利用できなくなるケースがある
学習保存をオフにすると、GeminiとGoogleサービスの連携機能が制限される場合があるので注意しましょう。拡張機能を利用したGmailやGoogleドライブの検索・要約機能は、アクティビティ設定に依存して動作します。
設定を停止すると、メール内容の要約やドライブ資料の検索・文書の自動整理などの機能が利用できない場合があります。外部連携を前提にした業務では、Geminiのセキュリティ設定と機能制限の関係を事前に確認しましょう。
利便性が下がり作業効率に影響する可能性がある
履歴保存停止や連携制限が重なると、Geminiの利便性が下がり業務効率にも影響が出ます。総務省の資料でも、生成AIの活用では機能制限や運用設計が利用定着に影響すると指摘されています。
安全性を優先して無料版の設定をすべてオフにすると、操作が不便になり現場の利用が進まなくなるかもしれません。その結果、社員が個人アカウントでAIを使う、いわゆるシャドーITが発生する可能性もあります。
セキュリティと利便性を両立するには、学習対象にならない仕様で全機能を使える法人向けGeminiの利用を検討しましょう。
Geminiを安全に使用するための対策7選

ここでは、企業がGeminiを安全に使うために確認したい対策を7つに分けて説明します。
- 法人向けプランやGoogle Workspace環境で利用する
- アクティビティ設定を管理して学習対象を制御する
- 個人情報や機密情報を入力しない運用ルールを作る
- アクセス権限と認証設定を適切に管理する
- 外部アプリや拡張機能の連携範囲を制限する
- ログ管理やデータ保持設定を定期的に確認する
- 社内ガイドラインやコンプライアンスに沿って運用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
法人向けプランやGoogle Workspace環境で利用する
Geminiのセキュリティを優先するなら、無料版ではなく法人向けプランやGoogle Workspace環境で利用しましょう。Google Workspace with Gemini など、データ保護が適用されるエディションでは、チャット内容やアップロードしたファイルが人による確認やモデル改良に使われません。
契約前には、enterprise-grade data protectionsが含まれるエディションか確認する必要があります。
導入時に費用だけで判断すると、情報漏えい時の損失や対応コストが大きくなります。Geminiを業務利用する企業は、セキュリティ要件を満たす法人プランを前提に検討しましょう。
アクティビティ設定を管理して学習対象を制御する
無料版のGeminiを使う場合は、Googleアカウントのアクティビティ設定を管理し、学習対象を制御しましょう。
試験導入や一時利用でも、Geminiアプリアクティビティがオンのままだと、入力した内容が学習データとして扱われる可能性があります。
設定画面でオフに変更し、利用前に状態を確認する流れを社内で決めておきます。個人任せにすると設定漏れが起きやすいため、管理者が確認方法を周知し、利用前チェックを運用フローに組み込みましょう。また、必要に応じて設定画面の確認記録を残す運用も検討します。
個人情報や機密情報を入力しない運用ルールを作る
Geminiのセキュリティ対策では、個人情報や機密情報を直接入力しない社内ルールを作る必要があります。システム側の保護だけでは不十分で、社員の入力方法まで決めないと情報漏えいは防げません。
個人情報保護委員会は、生成AIサービスへ個人データを入力する場合、回答生成以外の目的(学習や保存など)に利用されないか事前に確認するよう注意を促しています。
議事録や問い合わせ対応文を扱う場合は、顧客名や社員名・会社名を記号へ置き換えるマスキング手順を定めます。Geminiへ入力してよい情報と禁止する情報を一覧化し、社内へ周知する運用が必要です。
参考:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起」
アクセス権限と認証設定を適切に管理する
Geminiを業務で使うなら、アカウント管理と認証設定を厳格に運用し、不正アクセスを防ぐ必要があります。退職者アカウントの残存やパスワード使い回しは、情報漏えいの原因になるからです。
IPAの資料でも、多要素認証やパスキーなど複数の認証手段を組み合わせる運用が推奨されています。
IDとパスワードだけに依存せず、下記を組み合わせる管理が必要です。
- ワンタイムパスワード
- 生体認証
- パスキー認証
Google Workspace管理コンソールで全社員に多要素認証を必須設定にし、Gemini利用アカウントの乗っ取りを防ぎましょう。権限付与は最小限にし、不要な管理者権限を残さない運用も欠かせません。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」
外部アプリや拡張機能の連携範囲を制限する
Geminiのセキュリティを保つには、外部サービスや拡張機能との連携範囲を制限しましょう。GmailやGoogleドライブと連携すると作業は効率化しますが、アクセス権限の設定を誤ると機密情報が参照される可能性があります。
すべての社員に同じ権限を与えると、プロンプト操作だけで内部資料へアクセスできる状態になります。管理者は、部署や役職・プロジェクトごとにアクセス範囲を分けましょう。
Geminiの拡張機能は必要なチームのみ許可し、全社共通で開放しない設定が安全です。共有ドライブやメールの参照権限も同時に見直す必要があります。
ログ管理やデータ保持設定を定期的に確認する
Gemini導入後は、利用ログとデータ保持設定を定期的に確認し、不正利用を早期に検知する必要があります。設定を変更しても、運用監視がなければ情報漏えいは防げません。
総務省・経済産業省のガイドラインでも、AIを利用するうえで継続的な監視と記録管理が必要とされています。管理コンソールでは、利用アプリや実行操作・アクセス履歴を確認が可能です。
監査ログを定期的にチェックし、不審な操作がないか確認する運用を決めます。
不要なチャット履歴の保存期間を短く設定し、保持データを増やさない管理も欠かせません。
出典:総務省・経済産業省『AI事業者ガイドライン(第1.1版)』
社内ガイドラインやコンプライアンスに沿って運用する
Geminiを安全に使うには、セキュリティ対策を文書化し、社内ルールとして統一する必要があります。個人判断で利用すると設定漏れや入力ミスが発生しやすくなるからです。
経済産業省の指針では、AI利用では経営層が主導し、組織全体で運用基準を決める必要があるとされています。
社内ガイドラインには、利用目的や入力禁止情報・事故時の報告手順を明記しましょう。Geminiの利用ルールを就業規則や情報セキュリティ規程に組み込み、全社員へ周知します。定期研修を実施し、最新のセキュリティリスクを共有する体制も欠かせません。
Geminiを業務利用する際の3つの注意点

最後に、Geminiを安全に使うために現場で守るべき注意点を3つ整理します。
- 個人情報や機密情報を入力しない運用ルールを決める
- 生成された回答の内容を必ず確認してから使用する
- 社内ポリシーやコンプライアンスを事前に確認する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
個人情報や機密情報を入力しない運用ルールを決める
Geminiのセキュリティを保つには、個人情報や社外秘データを入力しない運用ルールを決めておきましょう。AIの利用が許可されている場合でも、顧客情報や未公開資料をそのまま入力すると漏えいにつながります。
現場で実施する対策として、入力前に情報を下記のように抽象化する処理をしましょう。
- 取引先名 → A社
- 売上金額 → X円
- 担当者名 → 担当者A
上記のように置き換えてからGeminiへ入力します。
部署ごとに入力禁止データを明文化し、セキュリティルールとして共有しましょう。Geminiへ入力可能な情報と禁止情報を一覧化しておくと判断ミスを防げます。
生成された回答の内容を必ず確認してから使用する
Geminiの出力は常に正しいとは限らないため、回答内容を確認してから業務で使用する必要があります。生成AIは事実と異なる情報を出力する場合があるからです。
誤った内容をそのまま提案書や資料へ使用すると、誤情報によるトラブルや信用低下につながります。
数値や法律・制度・会社名などは、公式サイトや公的資料・企業の公開情報と照合します。Geminiの回答は下書きとして扱い、人が最終判断する運用を徹底しましょう。
ファクトチェックを業務手順に組み込み、確認なしで使用しないルールを決めます。
社内ポリシーやコンプライアンスを事前に確認する
Geminiを使う前に、自社のセキュリティ規程とAI利用ルールを確認しておきましょう。個人判断で無料版Geminiを使うと、社内のルールやコンプライアンス違反になる場合があります。
企業によっては、特定AIのみ使用許可していたり社内ネットワーク限定としていたり、管理アカウントのみ利用可などの制限があるからです。無料版AIを許可を得ずに利用すると、内部不正や情報漏えいとして扱われる可能性があります。
利用前に情報セキュリティ担当部署へ確認し、Gemini利用が許可されている範囲を把握しましょう。社内規程やコンプライアンス・契約条件を確認してから業務利用を開始することを徹底してください。
Geminiのセキュリティリスクと対策を理解して安全に業務で活用しよう

本記事では、Geminiのセキュリティリスクや無料版と有料版の違い、安全に使用するための対策について解説してきました。
Geminiは便利な生成AIですが、入力したデータが保存・学習される可能性があり、設定や運用を誤ると情報漏えいにつながるリスクがあります。特に業務利用では、データの扱い方やアクセス管理を理解したうえで導入しましょう。
【Geminiを安全に利用するための対策】
- アクティビティ設定を管理して学習対象を制御する
- 法人向けプランやWorkspace環境で利用する
- 社内ルールやガイドラインを整備して運用する
Geminiを正しく管理すれば業務を効率化できます。セキュリティ対策を徹底し、自社に合った形で安全に活用していきましょう。
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