GoogleのGeminiは文章作成やデータ分析などさまざまな場面で活躍しますが、以下のように入力した情報がGeminiに学習されていないか不安に感じる方もいるでしょう。
「企業の機密情報や顧客データがGeminiのモデル学習に利用されて流出しているのではないか」
「Geminiを学習させないようにする設定方法がわからない」
そこで、本記事ではGeminiを学習させない方法を、メリット・デメリットや料金プラン別の学習仕様を交えながら解説します。
【記事を読んで得られること】
- Geminiを学習させない設定方法
- Geminiを学習させないメリット・デメリット
- 料金プラン別の学習仕様
- 学習あり/なしの回答比較
個人情報やデータを守りながらGeminiを活用する方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
Geminiを学習させない設定方法

ここでは、Geminiを学習させない具体的な設定手順をスマホアプリ版・Webブラウザ版に分けて解説します。
一度理解すればどちらも10秒ほどで簡単に設定を切り替えられるので、すぐに業務に取り入れられるでしょう。
Geminiをスマホアプリで利用する場合
スマホでGeminiアプリを開き、右上のアイコンをタップします。

以下の画面に切り替わったら、「Geminiアプリ アクティビティ」を選択します。

デフォルトではアクティビティがオンに設定されています。プルダウンで「オフにする」または「オフにしてアクティビティを削除」を選択します。
どちらの設定もこれから先の会話データがGeminiの学習に使われなくなる点は同じですが、「オフにする」は過去の履歴が残るのに対し、「オフにしてアクティビティを削除」は過去の履歴も一定時間(最大72時間)が経てば削除されます。

今回は「オフにする」を選択しました。以下の画像のように「Geminiアクティビティをオフにしました」と表示されます。

これにより、今後の会話データは学習に使用されなくなり、履歴にも残らなくなります。
GeminiをWebブラウザで利用する場合
WebブラウザでGeminiを開き、右下の設定ボタンをクリックします。

「アクティビティ」を選択します。

スマホアプリ版と同じように、「オフにする」または「オフにしてアクティビティを削除」を選択すれば、学習させない設定への切り替えが完了します。

今回初めてGeminiの学習機能をオフに切り替えてみましたが、スマホアプリでもWebブラウザでも数回の操作で簡単にオン/オフを切り替えられました。
学習されたくない情報を入力する場合、学習をオフにすればデータはGoogleに利用されませんが、設定切り替え以降のGeminiでの会話記録はユーザーの画面から見られないようになっています。あとからチャットを再開したいときや内容を見返したい場合は不便さを感じるかもしれません。
学習されても問題ない情報を入力する場合はオンにして会話履歴を残すと、時間が経ってからでも会話内容を参照できます。
Geminiのデータ取り扱いに関する基本情報

ここでは、Geminiユーザーが提供した情報がどのような目的でGoogleに使用されるのかをGeminiの公式サイトをもとに解説します。
正確な情報を把握して不安を解消し、安心してGeminiを活用しましょう。
Gemini利用によってGoogleに提供される情報
GoogleはGeminiアプリのプライバシーハブにおいて、Geminiを通して生成されたテキストやコード、音声、画像などを収集していると説明しています。
Geminiに入力した質問はもちろん、会話のすべてが記録されているという意味です。
また、Geminiユーザーの位置情報や有料サブスクリプション契約状況、Geminiと接続しているほかのGoogleサービス(Google マップやGmailなど)の使用状況、Geminiを使用しているデバイス情報なども収集されています。
企業の機密データや個人情報を含む情報を入力する際は必ず学習機能をオフにしてから使用しましょう。
Googleがデータを使用する目的
Googleは以下の目的のためにGeminiを通してユーザーからデータを収集していると明らかにしています。
- サービスの維持と改良
- 新サービスの開発
- サービスのパーソナライズ
Googleはこれらのデータ収集を行う際、プライバシー保護の目的でデータを匿名化したりアクティビティのオフ機能を設けて学習を制限する仕組みをつくっています。
情報漏洩のリスクを正しく理解したうえで過度に恐れずに賢くGeminiを活用しましょう。
Geminiを学習させないメリット4選

ここでは、Geminiを学習させない具体的なメリットを4つ紹介します。
- 企業の機密情報や顧客の個人情報の流出リスクを低減できる
- オリジナル作品が生成物に利用されるのを防ぐ
- コンプライアンス対応が容易になる
- 顧客からの信頼を得やすくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
企業の機密情報や顧客の個人情報の流出リスクを低減できる
Geminiを学習させない最大のメリットは、企業の機密情報や販売データ、顧客の個人情報などが漏洩するリスクを減らせる点です。
社内資料のアップロードや機密情報を含むメールの下書き、販売データの分析などをする際は学習機能をオフにする習慣をつけましょう。
常にGeminiの学習機能をオフにし、重要情報を含まない場面ではほかのAIサービスを使用し、重要情報が絡む場面でのみGeminiを使用する方法もおすすめです。
オリジナル作品が生成物に利用されるのを防ぐ
自分が作成した文章や画像、動画などを学習機能をオンにしたままアップロードすると、デザインや色彩をGeminiが学習し、ほかのユーザーの出力に二次利用される可能性があります。
学習機能をオフにすれば、自分で考えた独自の表現やアイディアが知らないうちにGeminiの生成物に反映されるのを防げます。
オリジナルのコンテンツや未公開の創作物で独自性を保ちたい作品は、学習機能がオフになっている状態を確認してからアップロードしましょう。
コンプライアンス対応が容易になる
Geminiを導入する際、コンプライアンスの遵守は自社の信用を守るために非常に重要な観点です。
Geminiを学習させない設定にすると顧客情報や社内の機密資料が将来的なモデル改善に利用されないことを明示できるため、取引先や社内関係者への説明にともなう負担を軽減できます。
さらに、利用ガイドラインの整備や監査対応にかかる手間も抑えられ、AI導入をよりスムーズに進められる点は大きなメリットといえるでしょう。
顧客からの信頼を得やすくなる
AI技術の進化により、顧客は自分の企業や個人の情報が適切に扱われているかに敏感になっています。Geminiを利用する際に情報保護が徹底されていると示せれば顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。
反対に、データ管理の知識が乏しかったり管理が疎かになっていたりすると、それまで積み重ねてきた顧客からの信頼が失われかねません。
正しい知識を持ち安全な方法でGeminiを活用すれば長期的な信頼関係の構築にもつながります。
Geminiを学習させないデメリット4選

次に、Geminiを学習させないデメリットを4つ紹介します。
- 会話履歴が見返せない
- モデルのパーソナライズが遅れる
- 情報は一時的に保持される
- 組織データを生かした回答が難しくなる
順番に詳しく解説します。
会話履歴が見られない
学習機能をオフにすると、会話履歴が保存されないためあとから見返せません。
実際に学習機能をオフにして「新規チャット作成」を選択すると、次のような画面が表示されました。

また、ページのリロードやタブを閉じて再度開き直すと、Geminiからの確認なしにそれまでのチャットは削除されます。
一度終わらせたチャットをあとから再開したい場合は不便さを感じるときがあります。
モデルのパーソナライズが遅れる
学習機能をオフにすると日々の会話データが蓄積されないため、過去の会話を踏まえた提案や一貫性のある回答を得にくくなります。
徹底的に情報を管理すればデータ流出のリスクを減らせる反面、モデルのパーソナライズが進まず、個々のユーザーにあわせた回答を提供してくれるGeminiの強みを活用できません。
作業効率と情報保護の両方をバランスよく意識することが、Geminiを業務に取り入れるうえでのポイントです。
情報は一時的に保持される
Geminiを学習させない設定にしても、Googleの保持しているデータから即座に会話した内容が消されるわけではありません。これは、サービスの改善や予期せぬシステム障害に備えるためにGoogleが一時的に情報を保存しているためです。
ただし、学習させない設定でおこなった会話の内容はAIモデルのトレーニングに使用されず最大で72時間保存されたあとに削除されます。
組織データを生かした回答が難しくなる
Geminiの強みは、過去の会話によって蓄積されたデータを総合的に分析してユーザーにカスタマイズされた回答を提供してくれる点です。
学習させない設定にすると、企業固有の専門用語や独自ルール、プロジェクト名や経営方針などを会話の都度Geminiに説明しなくてはいけません。
そのため、たとえば「前回の会議の続きの提案書を作成して」といった指示が伝わらず、繰り返し同じ内容の指示を与える手間がかかります。
結果として、AIによる業務効率化の目的が大きく損なわれる可能性があります。
料金プラン別Geminiの学習仕様の違い

Geminiに提供されたデータのモデル学習利用は、個人向けプランか法人・開発者向けプランかによって大きく異なります。以下に料金プラン別のモデル学習の違いをまとめました。
| 比較項目 | 無料プラン | Google AI Pro | Google AI Ultra | Gemini for Google Workspace | Gemini API |
|---|---|---|---|---|---|
| 対象ユーザー | 個人 | 企業 | 開発者 | ||
| 月額料金(ユーザー1人あたり) | 0円 | 2,900円 | 36,400円 | 800円~ | 従量課金制 |
| モデル学習へのデータ利用 | モデル学習に利用される | モデル学習に利用されない | 無料枠:利用される有料枠:利用されない | ||
| 学習オフ機能 | あり(設定でオン/オフ切り替え可能) | 標準でデータ保護 | |||
それぞれのプランの特徴を詳しく解説します。
無料プラン・Google AI Pro・Google AI Ultra
Geminiの無料プラン・Google AI Pro・Google AI Ultraでは、デフォルトで会話データがモデル学習に利用されるように設定してあります。はじめの状態から設定を変えずに機密情報を入力すると、自動的にGeminiに学習されてしまいます。
一度Geminiに送ったデータは取り消せないため、学習に利用されたくない情報が関わる作業をする際は必ず冒頭で述べた設定手順を踏んでから使いましょう。
Google AI Proに関しては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

Gemini for Google Workspace
企業向けのプランであるGemini for Google Workspaceは、ユーザーのデータがモデル学習に利用されないように設定されています。
無料プランでは手動で学習オン/オフを切り替える必要がありますが、このプランであれば重要度の高い情報を読み込ませても設定を気にせず使えるため安心です。
個人向けのプランで学習オン/オフの切り替え忘れによる情報の漏洩が不安な場合は、1人での利用でもGemini for Google Workspaceを契約するのもおすすめです。
Gemini API
Gemini APIはアプリやシステムにGeminiを組み込むための開発者向けサービスです。
Gemini API利用規約には有料でGemini APIが利用されている場合、テキストや画像などのデータがサービスの改善に利用されないと書かれています。一方で、Gemini API無料枠を通してやり取りされた情報はサービスの改善や開発に利用されます。
Gemini APIを通して機密情報を含む会話が行われる可能性がある場合は、はじめから有料の設定にしておくと安心です。
Geminiの学習に関するよくある質問

Geminiの学習オン/オフ機能に関するよくある質問を集めました。
- 学習に使われずに会話履歴を保持できるか
- ほかのAIツールの学習仕様と比較したい
- 学習させない設定にすれば情報は漏洩しないのか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
学習に使われずに会話履歴を保持できるか
Geminiを学習させない設定のときにやり取りした会話内容をユーザーがあとから見返すことはできません。
新規チャットへの切り替え、ページの再読み込みなどをしたタイミングでそれまでの会話はすべて画面から消え、同じ話題を続けたい場合でもはじめから説明をし直す必要があります。
OpenAIのChatGPTは学習機能をオフにしても会話を残せますが、Geminiは学習機能をオフにすると過去の会話を参照できません。Geminiの学習オフの状態は、ChatGPTの一時チャットと似た機能と覚えておきましょう。
ほかのAIツールの学習仕様と比較したい
以下の表にGemini、ChatGPT、Claudeの3大AIサービスの学習機能に関する項目をまとめました。それぞれを情報保護の観点から比較したい方は参考にしてください。
なお、企業向けプランやAPI利用ではいずれのAIサービスもデフォルトで情報が学習に使用されない仕様となっているため、ここでは個人向けプランのみを比較しています。料金プランの違いによってモデルの学習仕様に違いはありません。
| サービス名 | 学習オン/オフ機能 | 学習オフ時の会話履歴参照 |
|---|---|---|
| Gemini | あり | 不可 |
| ChatGPT | あり | 可 |
| Claude | あり | 可 |
3つすべてのサービスで学習機能のオン/オフを切り替えられますが、Geminiは学習オフにすると会話履歴が参照できないのに対し、ChatGPT、Claudeは参照可能です。
学習させない設定で利用しながら履歴はいつでも参照したい場合はChatGPTやClaudeの利用を検討してみてください。
学習させない設定にすれば情報は漏洩しないのか
学習機能オフの状態で使用しているときに入力した情報はモデル学習に利用されませんが、漏洩リスクがゼロになるとは言い切れません。
入力したデータが将来的なモデル学習やほかのユーザーの回答生成に使われるリスクは防げますが、最大72時間はデータが保存されています。
学習させない設定にすれば漏洩リスクを大きく減らせます。「学習させない=一切データが残らない」と誤解せず、余計な情報や詳細なデータを送る必要がないときは必要最低限の内容だけをAIに読み込ませるように常に意識してGeminiを使いましょう。
Geminiに学習させない機能を理解して適切にAIを活用しよう!

本記事では、Geminiを学習させない設定方法や学習させないメリット・デメリット、プラン別の学習仕様などを解説してきました。
今回、実際に学習機能の切り替え操作をしてみましたが、初めてでも迷わず簡単に実行できました。Geminiを学習させない設定で使うことで情報漏洩リスクを減らして安全に活用しましょう。
一方で、学習させない状態のときの会話履歴が残されない点で扱いにくさを感じる方もいるでしょう。その際はChatGPTやClaudeをはじめとするGemini以外のAIサービスの活用も検討してください。
【Geminiの学習機能に関するポイント】
- 企業の機密情報を入力する際は学習させない設定にする
- Geminiに読み込ませる情報は必要最低限にする
- 学習させない設定にしても、情報保護の意識を念頭において使用する
モデル学習に関する正しい知識を把握して運用すれば、企業の信頼低下リスクにも対応しながら安心してGeminiを業務に取り入れられます。
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