ChatGPTは多方面で役立つ生成AIツールですが、PDFを使う場面で以下のような悩みを抱え、断念している方も多いでしょう。
「ChatGPTでPDFを読み込ませる方法がわからない」
「PDFを読み込ませたときに、ChatGPTでエラーが出て使えない」
そこで今回は、ChatGPTを使ってPDFを読み込む方法を中心に解説します。
【この記事を読んで得られること】
- ChatGPTで行えるPDFの読み込み手順
- エラーが起きる原因と対処策
- 無料プランでも実践できる活用術
合わせてPDFを使ううえでの注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ChatGPTでPDFを読み込む方法

ChatGPTでPDFを読み込む方法はいくつかありますが、無料プランか有料プランかによって利用できる機能は異なります。
ここでは、代表的な4つの方法を詳しく解説します。
- テキストをコピーしてペーストする
- 該当PDFのURLを貼り付ける
- PDFをテキストファイルに変換する
- ChatGPTプラグインを使用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
テキストをコピーしてペーストする
最もシンプルなのは、PDF内のテキストをコピーし、ChatGPTの入力欄にペーストする方法です。
PDFビューアやブラウザで開いたPDFから質問したい箇所をコピーして、ChatGPTに貼り付けると、その内容を要約してもらったり回答が得られたりできます。
- メリット:無料プランでも使える、操作が簡単
- デメリット:一度に扱える文字数が限られており、長文の場合は分割が必要になる
- 注意点:段組みなどが複雑なPDFだと、コピー時に文章が乱れることがあるので確認がおすすめ
該当PDFのURLを貼り付ける
ChatGPT Plus(有料)であれば、PDFが公開されているURLを入力して内容を参照させる方法も選べます。
共有リンクなどをChatGPTに伝えると、そのPDFを読み込ませて要約や回答を得られるでしょう。
ただし、この機能を使うにはChatGPTのベータ機能「Web browsing(ブラウジング機能)」をオンにする必要があります。
さらに、ChatGPT PlusやEnterprise版では、GPT-4の「Advanced Data Analysis(高度なデータ分析)」機能をオンにすると、PDFを直接アップロードして内容を解析することも可能です。
ファイルが大きい場合は時間がかかったりエラーが出たりすることもあるため、適宜テキスト変換などを検討してください。
PDFをテキストファイルに変換する
PDFの内容をテキスト形式(.txtなど)に変換してからChatGPTに読み込ませる方法もあります。テキストファイルならChatGPTが扱いやすく、読み込み精度も比較的高いでしょう。
PDF編集ソフトなどでPDFをテキスト化し、ChatGPTにアップロード、またはコピー&ペーストすれば解析できます。
- ChatGPT Plus:Advanced Data Analysis機能をオンにすると、テキストファイルをアップロードして一度に要約できる
- 無料プラン:ファイルのアップロードができないため、テキストファイル内容をコピー&ペーストする必要がある
ただし、画像や特殊書式は変換時に失われる可能性があるため、レイアウトが重要なPDFは変換後の内容をチェックすると安心です。
ChatGPTプラグインを使用する
ChatGPT Plusユーザーであれば、プラグイン機能を利用してより簡単にPDFを読み込ませることが可能です。
プラグインをオンにするには、ChatGPTの「Beta features」で「Plugins」を有効化し、GPT-4モデル+Pluginsモードを選択したうえでプラグインストアから目的のプラグインをインストールしてください。
代表的なPDF対応プラグインとして以下の3つが挙げられます。
- Ask Your PDF
- Link Reader
- MixerBox ChatPDF
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Ask Your PDF
Ask Your PDFは、PDFファイルをアップロードして発行される専用IDをChatGPTに伝えるだけで内容を質問できるプラグインです。
使い方は、開発元の提供する専用サイトに読み込みたいPDFをアップロードしてリンクIDを取得し、そのIDをChatGPT(プラグイン経由)に入力するだけです。
ChatGPTが該当のPDF内容を取得し、ユーザーの命令に応じて要約や質問回答をしてくれます。大きなPDFでも段階的に処理してくれるため、研究論文などの分析に便利いえるでしょう。
なお、Ask Your PDF自体はプラグインストアからインストールでき、ChatGPT Plusの環境下で動作します。
Link Reader
Link Readerは、名前の通りURLを読み取るプラグインです。
Web上のPDFファイルのURLを指定すると、その内容をChatGPTが取得して要約・回答します。
また、PDFだけでなくウェブサイトのリンク先記事などにも対応しており、汎用的に使えるのが特徴といえるでしょう。
使い方はシンプルで、ChatGPTにインストール後、プロンプト内に「このURLを読んで…」という形でPDFのリンクをChatGPTのチャットに入力するだけです。
オンライン上に公開されていないローカルPDFの場合は、Googleドライブ等にアップして共有リンクを発行すれば利用可能です。
Link Readerを使えば、手元のPDFを一旦アップロードしてURL化するという手間はありますが、PlusプランのユーザーがPDFを読む際の有力な手段となるでしょう。
MixerBox ChatPDF
MixerBox ChatPDFは、ChatGPT上でPDFの内容に質問できるプラグインです。
基本的な使い方や機能はLink Readerと似ており、ユーザーがPDFのURLを入力するだけでChatGPTがPDFの内容を読み取ります。
名称に「ChatPDF」と含まれていますが、これはChatPDFという外部サービスをChatGPTプラグイン化したようなイメージです。
オンライン上のPDFであれば直接URLを指定し、手元のPDFファイルの場合はGoogleドライブ等にアップロードしてURLを取得する必要があります。
Link Readerとの違いは大きくありませんが、場合によって読み取り精度や応答の傾向が異なることもあるため、両方試して使いやすい方を選ぶと良いでしょう。
いずれにせよ、プラグインを活用すればChatGPT PlusでPDFを手早く解析できるため、大量の文書を扱う業務で威力を発揮します。
ChatGPTが読み込み可能なファイル形式

ChatGPT(特にGPT-4モデル+プラグインや高度なデータ分析モード)は、PDFだけでなく多様な形式のファイルを扱えます。ここでは、ChatGPTが読み込める代表的なファイル形式を7つ挙げておきます。
- テキスト形式
- データ形式
- ソースコード
- PDFファイル
- Microsoft Officeファイル
- 画像ファイル
- 動画ファイル
それぞれ詳しく見ていきましょう。
テキスト形式
もっとも扱いやすいのがテキストファイル(.txt)です 。文章のみで構成されるため読み込みエラーも少なく、スムーズに要約や分析を行えます。
データ形式
表形式データのcsvやxml、jsonなど構造化データにもChatGPTは対応しています。
データ形式は行や項目ごとにデータが整理されているため、数値分析や特定の情報抽出なども可能です。
ソースコード
HTMLやJavaScript、PythonといったソースコードファイルもChatGPTに読み込ませられます。
バグの発見や最適化の提案を受ける際に役立つでしょう。
PDFファイル
一般的な文書形式として広く使われるPDFですが、レイアウトや画像が含まれると抽出に失敗することもあります。
テキストデータが主なら大きな問題はありませんが、スキャン画像などは読み込めない可能性があるため注意しましょう。
Microsoft Officeファイル
Word(.docx)、Excel(.xlsx)、PowerPoint(.pptx)などのオフィス文書もChatGPTのサポート対象です。
レイアウト情報(書式や図表の配置)は反映されにくいもののテキスト要素を中心に要約や編集ができます。
PowerPoint資料を読み込ませる際は、重要な内容はテキストで書かれているか確認し、必要であれば先にPDF化・テキスト化してから読み込ませると安心でしょう。
画像ファイル
画像ファイルに含まれる情報も、GPT-4のマルチモーダル機能(Vision機能)やプラグインを通じて読み取りが可能になりつつあります。
ただし、画像から直接テキストや情報を抽出する場合はOCR(光学文字認識)や画像解析AIとの連携が必要で、ChatGPT単体では高度な画像解析はまだ得意ではありません。
そのため、画像中の文字を読みたい場合は事前にOCRでテキスト化する、図表の読み取りは人間の目で補助する、といった対応を取ると良いでしょう。
動画ファイル
動画そのものをChatGPTに解析させることは難しいですが、字幕データなどテキスト化された情報があれば処理可能です。
現状では動画ファイルを直接要約するより、文字起こしした内容をChatGPTに読み込ませる方が現実的でしょう。
ChatGPTでPDFを読み込むときに起こるエラー原因

実際にChatGPTでPDFを読み込ませる場合で、エラーが表示されるケースがあります。ここでは、代表的な原因として、以下の7つが考えられます。
- PDFファイル自体の問題
- ファイルサイズ
- トークン数の制限
- 使用環境
- 設定の問題
- ブラウザのキャッシュ
- サーバー側の負荷
それぞれ詳しく見ていきましょう。
PDFファイル自体の問題
暗号化されたPDFやスキャン画像のみでテキスト情報がほとんど無いPDFは、ChatGPTが内容を読み取れない可能性があります。
テキスト抽出に失敗する場合は、PDFを再保存するか、暗号化を解除したり、必要に応じてOCRソフトで画像内文字をテキスト化するなどの対処を試してみてください。
ファイルサイズ
PDFファイルのサイズが大きすぎる場合、ChatGPTへのアップロード時に失敗したりタイムアウトが起きたりします。
ChatGPTのファイルアップロード機能では一般に数百MB程度(GPT-4のAdvanced Data Analysisでは上限512MB)のサイズ制限があり、これを超えるファイルは受け付けられません。
仮にアップロード自体はできても、ファイルが巨大だと読み込みに非常に時間がかかり結果としてエラーになることもあります。
適宜tPDFを分割したり、不要なページや画像を削除してサイズを小さくするとエラーを回避しやすいでしょう。
トークン数の制限
ChatGPTには一度に処理できるトークン数(文章の単位)の上限があります。GPT-4モデルでは最大で8,000~32,000トークン程度(日本語文字数で約30,000字前後)とされています。
そのため、PDF内のテキスト量がこの上限を超える場合、ChatGPTは全内容を一度には読み切れません。
長大なPDFを一気に読み込ませると、一部しか要約されないか途中で回答が切れることがあるため、章ごとに分割する方法がおすすめです。
使用環境
ユーザー側の使用環境によってもエラーが起こる場合があります。
インターネット接続が不安定だったり、利用しているブラウザやデバイスに問題があったりすると、ファイルアップロードや処理が途中で中断されるケースも避けられません。
ChatGPTはクラウドサービスのため、安定したネットワーク環境が必要で、アップロード中に接続が切れるとエラーになります。
プライベートウィンドウや別のブラウザで試してみるなど、環境を変えて対処してみましょう。
設定の問題

ChatGPT PlusでPDFを直接扱う場合、プラグインや高度なデータ分析モードをオンにしておく必要があります。
設定を忘れていると「ファイルを読み込めません」等のメッセージが出てしまいます。
Pluginsモードに切り替えず通常モードでプラグインコマンドを使おうとするとエラーになりますし、Advanced Data Analysisをオンにしないままファイルをドラッグ&ドロップしても反応しません。
一度設定を見直し正しくAdvanced Data Analysisを有効化すればエラーが解消する場合が多いです。
ブラウザのキャッシュ
ChatGPTのファイルアップロード機能が正常に動かない、読み込み途中で止まる、といった症状はキャッシュの不整合で起こることがあります。
この場合、使用しているブラウザのキャッシュ(一時データ)やCookieをクリアしてからページを再読み込みすると改善することが多いです。
ブラウザ側の要因でエラーが出ていると感じたらキャッシュクリアは最初に試す価値があるでしょう。
サーバー側の負荷
ChatGPTのシステム側に問題(メンテナンス中や過負荷状態など)があると、ユーザーの環境に問題がなくても、応答がエラーとして返されてしまうことがあります。
「There was an error generating a response」といった一般的なエラーは、サーバーが一時的にリクエストを処理できなかった可能性が高いです。
ChatGPTによるシステムエラーの場合、ユーザー側でできることは限られますので、時間をおいて再実行したり、OpenAIのステータスページで障害情報を確認したりするとよいでしょう。
ChatGPTでPDFを読み込むときの注意点

ChatGPTでPDFを読み込む際には、次の3つに留意しましょう。
- 機密情報の読み込みは気をつける
- 画像の解析は難しいと理解する
- 読み込める量が制限される
それぞれ順に解説します。
機密情報の読み込みは気をつける
入力したデータはChatGPTのモデル学習に使われる場合があります(※ChatGPT Enterprise版を除く)。
社外秘資料や個人情報が含まれるPDFは、そのまま読み込ませると第三者に情報が漏洩するリスクがゼロではありません。
どうしても機密データをAIに解析させたい場合は、OpenAIが提供する企業向けサービスを検討するか、少なくとも特定個人を識別できる情報をマスキング(黒塗り)してから使用するなどの対策をおすすめします。
また、情報管理ポリシーに従い慎重に取り扱うことが大切です。
機密情報についてのリスクは下記の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

画像の解析は難しいと理解する
PDFには画像やスキャン形式のデータが含まれることがありますが、現状のChatGPTでは画像解析が十分に行えません。
PDF中の画像(グラフや写真、スキャンされた書類など)を読み込ませても、ChatGPTは十分な回答を出せない場合があるでしょう。
グラフの傾向を読み取ったり、設計図の内容を理解したりといったことは現状のChatGPTでは難しいです。
図表や写真に埋め込まれたテキストが重要な場合はキャプション(説明文)を付けておく、画像中のテキストは別途抽出してChatGPTに指示を与える、といった工夫をしましょう。
読み込める量が制限される
長文のPDFをそのまま読み込ませると、ChatGPTのトークン上限を超えてしまい、一部だけしか要約されない可能性があります。
重要な情報を見落とすのを防ぐには、PDFをチャットに投入する前に章立てや目次を確認し、必要な部分だけ順次読み込ませていく方法が有効です。
あるいはChatGPTにざっくり要約させてから、追って「重要なポイントに絞って」と指示するなど、段階的に活用すると良いでしょう。
ChatGPTにPDFを読み込ませてできること

ChatGPTでPDFを扱うと、以下のような作業を効率化できます。
- 内容の要約
- テキストの抽出
- データの抽出
- 抽出テキストの翻訳
- 抽出データの変換
それぞれ詳しく見ていきましょう。
内容の要約
レポートや論文などの長文PDFを素早く要約してくれます。「このPDFの要点を3つ挙げてください」「本文全体の概要を200字程度にまとめてください」などと依頼すると、重要なポイントだけを短時間で確認できるでしょう。
ただし、自動要約は重要な細部を省いてしまうこともあるので、情報が抜け落ちていないか最後に原文を確認しておくことをおすすめします。
テキストの抽出
ChatGPTに「PDFからすべてのテキストを抽出してほしい」と指示すると、段組みやページの区切りをある程度補正して取り出してくれます。
ただし、複雑なレイアウトでは文章の順序が乱れる可能性もあるので、出力結果のチェックは欠かせません。
データの抽出
PDF内の表や統計データをChatGPTに取り込ませると、特定の数値だけを一覧化したり、「CSV形式で出力して」と依頼すれば、カンマ区切りのフォーマットに整形したりできます。
売上データや研究データなどを手作業で転記する手間が省けるでしょう。誤記入を防ぐために、必要に応じて原文と照合してみてください。
抽出テキストの翻訳
ChatGPTは多言語に対応しているため、英語やその他の言語で書かれたPDFを読み込ませ、そのまま日本語に要約してもらうことも可能です。
ただ、専門用語や微妙なニュアンスは機械翻訳では特有の誤差が出ることもあるので、正確性が求められる場合は追加のチェックをおすすめします。
しかし日常的な理解用途であればChatGPTの翻訳は十分実用的ですので、語学の壁を越えて情報を活用できることは強力な手段となるでしょう。
抽出データの変換
ChatGPTにPDF内容を読み込ませた後、その抽出データを別の形式に変換させることも可能です。
PDFに記載されたリストを「Markdown形式の箇条書きにしてください」「名前とメールアドレスの組をCSV形式で出力してください」「USD表示をJPYに換算してください」のように指示すれば、フォーマットや単位を自動で再編集してくれるでしょう。
ただし、計算結果や変換結果は念のため人間が検算・確認すると安心です。
ChatGPTでPDFを読み込む方法を覚えてビジネスを効率化させよう

この記事では、ChatGPTを使ってPDFを読み込む代表的な方法や注意点、発生しやすいエラー原因などを解説しました。
ChatGPTはPDF内容の要約や翻訳、データ抽出などを自動化することで、業務時間を大幅に短縮できる可能性があります。もちろん、機密情報の扱いやトークン数の上限には留意した上で活用することが大切です。
【ChatGPTでPDFを活用するポイント】
- テキスト量や環境に注意する
- プラグイン活用を検討する
- 無料プランの範囲を把握する
正しく使えばPDFの読解にかかる手間を削減できるでしょう。ぜひ本記事を参考にChatGPTを活用してビジネスの生産性向上を目指してみてください。
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