生成AIは業務効率化を進める重要な選択肢ですが、著作権侵害の事例が相次いでおり、導入判断に迷う方も少なくありません。
「生成AIで作った画像が著作権侵害の事例に当てはまらないか不安」
「自社が生成AIの著作権トラブルに巻き込まれた場合の責任が気になる」
そこで今回は、生成AI著作権侵害の代表的な事例と注意すべきポイント、リスクを回避するための対策を解説します。
【記事を読んで得られること】
- 生成AI著作権侵害の具体的な事例
- 生成AIの著作権ルールの整理
- 侵害リスクを避けるための実務的な対策
生成AIを安全に導入するための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
生成AIにおける著作権侵害事例3選

まず、生成AIにおける著作権侵害事例を紹介します。
- AI生成画像の複製により著作権法違反容疑で書類送検(2025年11月)
- ヱヴァンゲリヲンAIポスター無断販売により著作権法違反容疑で書類送検(2025年1月)
- 中国の事業者による偽ウルトラマン画像生成に対して賠償命令(2024年2月)
生成AIに関する著作権リスクを把握しておくと、事業への影響を抑えながらAIを活用できます。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
AI生成画像の複製により著作権法違反容疑で書類送検(2025年11月)
生成AI著作権侵害事例として、被害者が生成AIで制作したデジタルアート画像を別の人物が無断複製し、電子書籍の表紙に使用した行為が2025年11月20日に著作権法違反容疑で書類送検されたAI画像における国内初のケースです。
被害者はAIに具体的な指示を与え、多数の生成結果から選択する工程を経ており、この「創作的関与」が著作物性の根拠と判断されました。
千葉県警は、人の指示と選択が介在した生成物は自動生成とは異なり著作権が成立すると整理し、無断複製した側は複製権侵害に該当すると結論づけています。
参考:生成AIで制作の画像を複製した疑い、著作権法違反容疑で書類送検|朝日新聞
ヱヴァンゲリヲンAIポスター無断販売により著作権法違反容疑で書類送検(2025年1月)
アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」のキャラクター画像を生成AIで加工した複製ポスターを無断販売した男性が、2024年1月に著作権法違反容疑で書類送検された生成AI著作権侵害事例です。
このケースは、生成AIが関与する国内初の著作権侵害容疑とされ、男性は2024年1月〜3月にかけて4枚を販売し、4月には画像データの所持も疑われています。
既存キャラクターの外観を模倣・改変した画像で利益を得た点が侵害の根拠とされ、事件はオークションサイトのサイバーパトロールによって発覚しました。
参考:「ヱヴァ」のポスター販売疑い_生成AIで性的に強調|Yahoo!ニュース
中国の事業者による偽ウルトラマン画像生成に対して賠償命令(2024年2月)
中国の事業者がウルトラマンに酷似した画像を生成するAIサービスを提供していたとして、2024年2月に広州インターネット法院が著作権侵害を認めた生成AI著作権侵害事例です。
円谷プロの中国代理店が提訴し、人気作品「ウルトラマンティガ」に類似した画像が多数生成されていた点が争点となりました。
裁判所は事業者に1万元(約20万円)の損害賠償と生成防止措置を命じました。これに円谷プロは公平な判断だったとコメントしています。
参考:偽ウルトラマンに賠償命令_中国で生成AI著作権侵害_円谷プロ「公正な判断」|産経新聞
生成AIの著作権侵害における議論段階の事例3選

ここでは、生成AIの著作権侵害における議論段階の事例を3つ紹介します。
- Sora2に対し日本民間放送連盟が懸念表明(2025年11月)
- Perplexityに対し読売新聞社グループが提訴(2025年8月)
- Perplexityに対し日本経済新聞社と朝日新聞社が提訴(2025年8月)
それぞれ、具体的な議論内容を詳しくみていきましょう。
Sora2に対し日本民間放送連盟が懸念表明(2025年11月)
日本民間放送連盟は2025年11月26日、動画生成AI「Sora2」が既存のアニメキャラクターに極めて近い映像を生成し流通している状況を受け、著作権やブランド毀損の懸念を表明しました。
権利保有企業に似た映像が生成される可能性に加え、ニュース番組に酷似した映像が視聴者の判断を誤らせる危険性も指摘されています。
民放連は開発側へ、無許諾での学習防止措置や流通映像の削除対応を求めています。
参考:Sora2に民放連が懸念表明_アニメを学習した動画「著作権侵害」|朝日新聞
Perplexityに対し読売新聞社グループが提訴(2025年8月)
読売新聞社グループは2025年8月7日、生成AI検索サービスのPerplexityが自社の記事を無断で取得・複製し、要約した内容を利用者へ提示しているとして、差し止めと約21億6800万円の損害賠償を求めて提訴しました。
読売側は、複製権と公衆送信権を侵害している点に加え、検索結果が読売新聞オンラインへ誘導されず広告収入が減少したことを問題視しています。
大手報道機関による生成AI事業者への提訴は日本で初めてです。
参考:読売新聞社、「記事無断利用」生成AI企業を提訴…日本の大手報道機関で初|読売新聞オンライン
Perplexityに対し日本経済新聞社と朝日新聞社が提訴(2025年8月)
読売新聞社グループに続き、2025年8月26日、日本経済新聞社と朝日新聞社は共同でPerplexityを提訴しました。
両社は、robots.txtによる利用拒否設定を無視して記事を収集し、要約提供の中で誤った内容に両社名を表示して信頼を損ねたことを問題視し、それぞれ22億円の損害賠償を求めています。
さらに、日経の有料会員向け記事が無許諾で利用されていた点も訴状で指摘されています。
参考:日経・朝日、米AI検索パープレキシティを提訴_著作権侵害で|日本経済新聞
生成AIのコンテンツには著作権が認められるのか?

生成AIのコンテンツには著作権が認められるのかを理解しておくと、企業が扱うAI生成物のリスクを事前に判断しやすくなります。
- ユーザーが創作的に関与した生成物だけが著作物になる
- AI生成物の侵害判断は類似性で評価される
- AI学習は非享受目的なら許諾なしで認められる
- 享受目的を含む学習インプットは侵害リスクが高い
- 生成物が既存作品に依拠すれば侵害が成立する
それぞれ、具体的な基準を詳しく見ていきましょう。
ユーザーが創作的に関与した生成物だけが著作物になる
AIを使った制作物に著作権が認められるかどうかは、人がどれだけ創作に関与したかで決まります。
AIが自律的に生成した内容は著作物になりませんが、明確な意図を持って指示し、生成結果を選び加工した工程があれば著作権の主体として扱われます。
生成AIを業務に使う企業は、制作過程の判断や編集の履歴を残し、権利の帰属が整理できる状態でコンテンツを扱う体制を整えてください。
AI生成物の侵害判断は類似性で評価される
著作権侵害の判断では、生成AIが生み出した画像や文章が既存作品と似ているかどうかが判断の軸になります。
一般的な要素が共通しているだけでは侵害にはなりませんが、特徴的な顔立ち、衣装、構図など創作的表現が重なる場合は、著作権侵害の可能性が高まります。
企業がAI生成コンテンツを公開する場合は、人の目で既存作品との類似を確認する工程を設け、誤った利用を防ぐ運用が求められます。
AI学習は非享受目的なら許諾なしで認められる
AIの学習段階で著作物を使う場合でも、法律では「内容を味わう目的で扱わない利用」は許諾なしで進められます。
学習データとして複製する行為が解析や性能改善だけを狙ったものであれば、著作権侵害には該当しません。ただし、権利者の利益を損なう利用と判断されると例外扱いになります。
生成AIを扱う企業は、データ収集の過程が非享受目的の範囲に収まっているかを整理しながら進める必要があります。
享受目的を含む学習インプットは侵害リスクが高い
学習の目的に「既存作品の再現」や「特徴の抽出」が含まれると、著作権者の許諾が必要になる場面が出てきます。
たとえば、既存コンテンツに近い表現を再生成させるための追加学習や、違法アップロード作品を取り込む行為は、享受目的が混在すると見なされ侵害リスクが高まります。
企業がAIモデルを調整する際は、学習素材の出所や扱い方を確認し、非享受目的を超えない範囲にとどめる運用が欠かせません。
生成物が既存作品をもとにしていれば侵害が成立する
生成AIが作り出した内容が既存作品をもとにしている場合は、類似性の有無に加えて、再現を促す指示があったかどうかが判断材料になります。
特定作品を模した指示を与えていたり、特徴的な表現を再利用した形跡があれば、既存作品を参考にしたと判断されやすいです。
著作権侵害が成立すると、公開停止の請求や損害賠償の対象になるため、プロンプト段階から再現を促す表現を避ける運用を意識してください。
生成AIを利用する際の著作権上の注意点

ここでは、生成AIを利用する際の著作権上の注意点を3つ紹介します。
- 法解釈やガイドラインの変化に注意する
- 適法でも企業として問題が出ないか見極める
- 既存作品に似すぎた生成物が出ないよう確認する
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
法解釈やガイドラインの変化に注意する
著作権に関する法解釈は更新が続くため、生成AI著作権侵害事例を踏まえ、文化庁のチェックリストやガイドラインを定期的に確認する運用が必要です。
企業としては、法改正や訴訟動向の変化にあわせて社内ルールを随時見直す体制を整える点が欠かせません。海外で進む訴訟(ニューヨーク・タイムズ対OpenAI、Getty対Stabilityなど)も、国内の判断に影響する可能性があります。
生成AIを安全に導入するには、更新情報を継続的に把握し、判断材料を増やす姿勢が求められます。
適法でも企業として問題が出ないか見極める
生成AIの利用が著作権法に触れない場面でも、著作権の扱いをめぐる反発が起きれば企業の信頼を損なう可能性があります。
学習利用が適法と整理される場面でも、生成物の内容が創作者の評価に影響すれば、炎上につながるケースは避けられません。
人材の負担を軽くしたい状況でも、外部からどう評価されるかを踏まえ、企業として妥当かどうかを常に確認しながらAIを活用する姿勢が必要です。
既存作品に似すぎた生成物が出ないよう確認する
生成AIの出力が既存作品に似すぎれば著作権侵害の事例に当たる可能性があるため、商用利用前に類似度を必ず確認してください。
固有名詞やキャラクター名を入力すれば依拠が生じやすく、著作権侵害につながるリスクが高まります。
生成物を点検する仕組みやプロンプトの入力ルールを社内で明確にし、チェック内容を記録として残しておけば、問題発生時の説明にも使えます。
企業が生成AIで著作権侵害を避けるための7つの対策

ここでは、企業が生成AIで著作権侵害を避けるための対策を7つ紹介します。
- 商用利用に適した生成AIモデルを選ぶ
- 生成物を公開前に人間が必ず精査する
- 専門家による法務・知財のレビュー体制を整備する
- 二次創作に寄りすぎない安全なプロンプト設計を取り入れる
- 外部データや社外素材の取り扱い基準を明確に管理する
- 国内外のガイドラインや判例を踏まえて運用を定期的に見直す
- 社員の生成AIリテラシーを底上げする
具体策を踏まえて、安全に運用するポイントを詳しく見ていきましょう。
商用利用に適した生成AIモデルを選ぶ
商用利用では、生成AIの利用規約と著作権の扱いを把握し、企業向けモデルを選ぶ判断が欠かせません。
学習データの範囲や商用可否が不明確なAIを使うと、生成AI著作権侵害事例に巻き込まれるおそれがあります。法務担当が規約改定の確認をする運用を取り入れ、AdobeやOpenAIのように商用条件を明示するサービスを選ぶと安全です。
モデル選定と規約確認を同時に進めれば、著作権の問題を避けながら安心して導入できます。
生成物を公開前に人間が必ず精査する
生成AIの出力は、意図せず既存作品と似る場合があるため、著作権侵害を避けるには公開前の人による確認が必須です。
既存作品や商標との類似は、生成AI著作権侵害事例で争点になる部分であり、社内でチェック工程を固定化すると安全です。法務や知財担当が最終確認をして、確認記録を残す運用を取り入れれば、後日の説明根拠としても活用できます。
生成物をそのまま利用しない姿勢が、企業の著作権侵害のリスクを下げます。
専門家による法務・知財のレビュー体制を整備する
生成AIを使う場面では、著作権の扱いや法解釈で判断が難しい事例が発生するため、弁護士や知財専門家の定期レビューがリスク削減に直結します。
専門家は、学習データや生成物が著作権法第30条の4の範囲に収まるかを具体的に確認し、生成AI著作権侵害事例に発展する可能性を早期に把握。
社内ガイドラインの作成支援や運用改善も依頼できるため、専門家の継続的なチェックが企業の安全なAI活用を支えます。
二次創作に寄りすぎない安全なプロンプト設計を取り入れる
生成AIの出力が既存作品に近づくと、生成AI著作権侵害事例に近い扱いになり、元作品を参考にしたと判断されやすくなります。
固有名詞やキャラクター名を含む入力は、模倣を誘発しやすいため避けてください。社内でプロンプトの作成基準を統一し、抽象度の高い指示を使う運用にすると安全です。
スタッフ間で判断がぶれないよう入力ルールを文書化し共有すれば、商用利用でも安定して著作権リスクを抑えられます。
外部データや社外素材の取り扱い基準を明確に管理する
外部データを追加学習や素材として使う際は、著作権の扱いを誤ると侵害リスクが高まります。
パブリックドメインや自社保有素材を基本とし、外部素材はライセンスがAI利用を明示的に許可しているかを必ず確認してください。違法アップロード作品を学習に使えば、生成AI著作権侵害事例に該当するおそれがあります。
素材の出典や利用条件を記録し、後日の確認に備える運用が安全です。
国内外のガイドラインや判例を踏まえて運用を定期的に見直す
生成AIと著作権の議論は変化が早く、最新のガイドラインや判例を踏まえて運用を更新する必要があります。
文化庁のAI関連文書や、海外での類似画像に関する賠償事例などは、生成AI著作権侵害事例の判断基準を知る手がかりになります。
社内ルールを定期的に見直し、法的解釈の変化を反映する運用を続けると、予期しないトラブルを避けやすくなり安全な導入につながります。
社員の生成AIリテラシーを底上げする
生成AIを安全に扱うには、社員が著作権や二次創作の判断基準を理解しておく必要があります。
正しい知識がないまま利用すれば、生成AI著作権侵害事例に似た類似コンテンツを作るおそれがあります。研修や実践的なトレーニングで判断力を育てる仕組みを整えれば、問題に対して早期に気付ける人材が増えます。
社員のリテラシー向上は、企業がAIを継続的に安全運用するための基盤になります。
AIスキル習得やリテラシー向上をお考えの場合は、最大75%の研修費を助成金で削減できる生成AI研修サービスがおすすめです。
生成AIの著作権に関するよくある質問

最後に、生成AIの著作権に関するよくある質問を5つ紹介します。
- Q1:AIが生成した画像や文章に著作権は発生するの?
- Q2:生成AIが既存作品に似た場合、誰が責任を負うの?
- Q3:著作権のある作品をプロンプトに入力しても問題ないの?
- Q4:AIモデルの学習に既存の著作物が使われているけど合法なの?
- Q5:企業で生成AIを使う場合、著作権リスクを避けるために最低限必要なことは?
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
Q1:AIが生成した画像や文章に著作権は発生するの?
AIが自動生成した画像や文章には著作権が発生しません。
人の判断が入らない生成物は創作に該当しないためです。一方、ユーザーが明確な意図を持って入力調整や編集する工程があれば、人が関与した創作として扱われます。
この場合は生成物の権利は利用者に帰属するため、企業は編集作業や選択工程を記録して権利を確保してください。
Q2:生成AIが既存作品に似た場合、誰が責任を負うの?
既存作品と生成物の類似が強く、AIの学習データに同じ作品が含まれている場合は、元作品を参考にしたと判断されやすくなります。
多くのAIサービスは利用規約で責任を負わない方針を示しているため、生成物を使う利用者が侵害の主体になる可能性が高いです。
同じ作品が頻繁に生成される状況では、サービス提供者が責任を問われる可能性もあるため、生成物は必ず確認してください。
Q3:著作権のある作品をプロンプトに入力しても問題ないの?
著作権のある画像や文章をそのまま入力すると複製扱いになり得ます。
AIが解析する目的なら法30条の4が適用されますが、類似生成を狙う入力は享受目的とみなされ、例外規定が使えません。
特に、書籍・写真・社外資料の無許諾入力は複製権や翻案権の侵害に発展する可能性があるため、利用範囲を必ず事前に確認してください。
Q4:AIモデルの学習に既存の著作物が使われているけど合法なの?
AI学習は、著作権法30条の4により、内容を楽しむ目的で使わない限り、許諾なしでも利用できる扱いになっています。
ただし、有償データベースの無断複製や、権利者の利益を不当に損なう利用は例外規定の範囲外になります。
学習データの扱いは国際的にも議論が続いているため、企業は制度改正やガイドラインの更新を定期的に確認してください。
Q5:企業で生成AIを使う場合、著作権リスクを避けるために最低限必要なことは?
企業がリスクを抑えるには、生成物の確認、利用規約の把握、社内ルールの整備が必須です。
まず、生成物が既存作品に近くないか人が確認してください。次に、商用利用の可否や権利帰属を規約で確認し、学習データの扱いも把握します。
加えて、社内で利用基準を共有する体制を作り、侵害を避ける仕組みを維持してください。
著作権侵害事例を参考にリスクを回避しながら生成AIを活用しよう!

本記事では、生成AIに関する著作権侵害事例や、注意点、企業が取るべき対策について解説してきました。
AI生成物は著作権が認められる範囲が限られており、既存作品との類似や、利用規約の見落としによってトラブルにつながるケースがあります。実務では、生成物の事前チェックや利用モデルの選定など、運用面での慎重な判断が欠かせません。
【著作権侵害を避けるためのポイント】
- 商用利用に適したAIモデルの選定
- 生成物の事前チェック
- 権利面を理解した運用ルールの整備
自社の業務に生成AIを取り入れる際は、上記の対策を参考にしながら安全性と生産性の両立を目指してみてください。



