Canvaは多方面で役立つデザインツールですが、以下のような悩みによって導入に踏み切れない方も少なくありません。
「Canvaに注目しているものの、情報漏えいなどの危険性が不安で導入に踏み切れない」
「今後Canvaを使うことを考えて、危険性を払拭する要素も知りたい」
限られた経営資源の中で、AIやデザインツールによる業務効率化は欠かせないと理解しつつも、情報漏えいや著作権リスクをどう回避すべきか悩む経営者や担当者様は多いでしょう。
そこで本記事では、Canvaの情報漏えい・セキュリティリスクと過去のハッキング実例、安全に利用するための具体的な対策を解説します。
【記事を読んで得られること】
- Canva利用時の具体的な危険性を理解できる
- 過去の事例からセキュリティの重要性を学べる
- 安全に使い続けるための実践的な対策を把握できる
Canvaが導入している安全対策の要素も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Canvaの危険性とは?

まず、Canvaの危険性に関して3つのリスクを紹介します。
- 共有機能を通じた情報漏えいリスク
- アカウント連携で不正アクセスを受けるリスク
- サイバー攻撃の標的となるリスク
それぞれ詳しく解説していきます。
共有機能を通じた情報漏えいリスク
Canvaの共有機能は便利な反面、誤設定により機密情報が流出する恐れがあります。
特に「リンクを知っている全員」に編集権限を与えると、第三者にデータを改ざん・拡散される可能性があり、情報漏えいのリスクを否定できません。
社外秘の資料を扱う場合は、「閲覧のみ」や「特定ユーザー限定」に設定し、不要な共有リンクは削除しましょう。適切な権限管理は情報漏えい対策の基本です。
アカウント連携で不正アクセスを受けるリスク
GoogleやFacebookと連携してCanvaにログインすると便利ですが、連携元の情報漏えいがCanvaの不正アクセスに直結します。
プライベートと業務アカウントを一緒に使うとリスクが高まるため、利用を明確に分けましょう。
連携は必要最小限にとどめ、定期的な見直しとパスワード変更も欠かせません。
サイバー攻撃の標的となるリスク
Canvaはクラウド型サービスのため、サーバーが外部攻撃を受ける可能性があります。
過去には実際にハッキング被害が発生し、アカウント情報が流出した事例も確認されています。万が一の被害に備え、セキュリティアップデートの適用やデータのローカル保存を習慣化しましょう。
重要データの分散管理が、リスク対策に有効です。
Canvaで過去にあった情報漏えいの実例

ここでは、Canvaで過去にあった情報漏えいの実例を2つ紹介します。
- 2019年に発生した大規模ハッキング事件
- マルウェアによる認証情報の窃取事件
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2019年に発生した大規模ハッキング事件
2019年5月、Canvaは約1億3,900万人分のユーザーデータを流出させるサイバー攻撃を受けた過去があります。
攻撃者はユーザー名、メールアドレス、暗号化されたパスワード情報に不正アクセスし、一部のデータは解読される可能性も指摘されました。この事件により、他サービスと同一パスワードを使っていたユーザーにも被害が広がるリスクが発生したのです。
Canvaは再発防止策として、該当アカウントのパスワードリセット、セキュリティ強化、ISO 27001認証の取得などに取り組んでいます。
マルウェアによる認証情報の窃取事件
2021年〜2023年にかけて、約116万人分のCanva認証情報がマルウェアにより盗まれたと報告されています(カスペルスキー社調査)。
盗まれた情報はダークウェブやTelegramで取引されており、ログインIDやパスワードが悪用されるリスクがありました。原因は、フィッシングメールや偽サイトを通じてマルウェアが端末に侵入し、認証情報を抜き取るという手口です。
Canvaを含む大規模プラットフォームでは、強固なパスワード管理や定期的な変更、不審なリンクへの警戒が欠かせません。
Canvaを安全に使うための5つの対策

ここでは、Canvaを安全に使うための5つの対策を紹介します。
- 強固なパスワードを設定して定期的に更新する
- 二要素認証(2FA)を有効にする
- ファイル共有時の権限設定を見直す
- フィッシング詐欺目的の不審なリンクや偽サイトに注意する
- 利用環境の安全性を高める
Canva使用時の対策として、ぜひ参考にしてみてください。
強固なパスワードを設定して定期的に更新する
Canvaのアカウントを守るには、複雑かつ使い回しのないパスワードの設定が基本です。
英字・数字・記号を含む12文字以上の文字列を設定し、少なくとも3〜6ヶ月ごとに変更するのが推奨されます。
他サービスと同じパスワードの利用は避け、Canva専用で管理しましょう。管理が難しい場合は、パスワードマネージャーの利用も安全性を高めるのに有効です。
2019年のハッキング以降、Canvaはセキュリティを強化しており、ユーザーにも定期更新を促しています。
二要素認証(2FA)を有効にする
パスワード漏えい対策として、Canvaでは二要素認証(2FA)の導入が安全管理に有効です。
パスワードに加え、認証アプリやSMSによる確認コードを要求することで、第三者による不正ログインを防ぎます。設定はアカウント管理画面から簡単に行え、企業での導入時には全社員への適用が望ましいでしょう。
セキュリティ意識の共有にもつながるため、組織としてのリスク軽減に役立ちます。
ファイル共有時の権限設定を見直す
共有機能は便利ですが、不適切な設定が情報漏えいにつながります。
「リンクを知っている全員」に編集権限を付与すると、URL流出によって第三者に内容を変更される危険があります。共有時は「特定ユーザー」に限定し、表示専用またはコメント専用の設定に留めましょう。
共有が不要になったファイルは速やかに設定解除し、共同作業では編集履歴や担当者を記録する運用も情報漏えい対策として有効です。
フィッシング詐欺目的の不審なリンクや偽サイトに注意する
Canvaを狙ったフィッシング詐欺では、偽サイトや不審メールを使ってログイン情報を奪おうとする手口が確認されています。
こうした攻撃により、情報窃取型マルウェアが端末に侵入する事例も発生しているのはご存じでしょうか。見覚えのない送信元や、個人情報の入力を求めるリンクには反応せず、常に正規のURLかを確認しましょう。
加えて、信頼できるセキュリティソフトを導入し、定期的にウイルススキャンを実施するのもおすすめです。
利用環境の安全性を高める
Canvaを安全に使うには、アプリ自体だけでなく、使用環境のセキュリティ確保も欠かせません。
GoogleやFacebookとの連携設定は必要最小限にし、業務用と個人用のアカウントを分けて使いましょう。企業導入時には、従業員の利用端末やログイン方法を組織管理し、社外アクセスの制限を徹底する必要があります。
デバイスやアプリのアップデート、OSの最新化も脆弱性の悪用防止に有効です。さらに、公共Wi-Fi利用時にはVPNの活用により、通信の暗号化でデータ保護を強化できるでしょう。
Canvaを使うときの権利関係の5つの注意点

ここでは、Canvaを使うときの権利関係の5つの注意点を紹介します。
- 商用利用の条件を事前に確認する
- 著作権のある素材の取り扱いに注意する
- Canvaの利用規約を定期的に確認する
- 素材によって使用範囲が異なる点を理解する
- 作成したデザインを商標登録に使わないようにする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
商用利用の条件を事前に確認する
Canvaのデザインは基本的に商用利用が可能ですが、無加工のテンプレートや素材を使った商品販売は禁止されています。
そのまま印刷したTシャツやグッズの販売は、著作権侵害に該当する可能性があります。商用利用時は、独自の要素を加えるなどオリジナリティを持たせる必要があるので注意が必要です。
利用規約に沿って加工し、販売目的での利用可否を確認してから使用しましょう。
著作権のある素材の取り扱いに注意する
Canva内の素材やテンプレートには、それぞれ作成者の著作権があります。
素材やテンプレートを無断で配布・転売する行為は著作権侵害に該当し、禁止されているのはご存じでしょうか。有名キャラクターやブランドロゴなど、第三者が権利を持つ素材の使用にも注意が必要です。
著作権トラブルを避けるには、Canva提供の素材範囲内で作成するか、自作イラストや写真を活用しましょう。
Canvaの利用規約を定期的に確認する
Canvaの利用規約は、商用利用や著作権に関するルールを含めて随時更新される可能性があります。
業種や使用方法によって制限が追加される場合もあるため、定期的に確認しましょう。新たなプロジェクトや販売活動を始める前には、必ず最新の規約を確認してください。
通知メールや公式サイトの更新情報をチェックする習慣が、トラブル防止につながります。
素材によって使用範囲が異なる点を理解する
Canvaで提供される素材の中には、用途が限定されたものもあります。
たとえば、「Editorial Use Only」は報道目的など非営利目的に限り利用可能で、広告などの商用利用は禁止です。音楽や動画素材も、SNS広告での使用は可能でも、テレビCMなどは対象外とされている場合があります。
事前に素材の使用条件を確認し、利用範囲を誤らないよう注意しましょう。
作成したデザインを商標登録に使わないようにする
Canvaのテンプレートを使ったデザインは、加工の有無にかかわらず商標登録の対象外です。
理由は、他のユーザーも同じテンプレートを使えるため、独自性が保証されないからといわれています。商標登録には、テンプレートや素材を使用せず、ゼロから制作した完全オリジナルのデザインが必要です。
使用できるのは「Freeライブラリー」内の基本パーツやフォントのみとされており、素材の選定にも注意しましょう。
Canvaの危険性を払拭する5つの要素

最後に、Canvaの危険性を払拭する5つの要素を紹介します。
- 強固なセキュリティ認証体制
- データ保護のための暗号化技術
- アクセス許可の付与
- Canva AIセキュリティ対策
- コンプライアンス遵守
それぞれ詳しく見ていきましょう。
強固なセキュリティ認証体制
Canvaは、SSOやMFAを導入し、ログイン時の認証強化を実施しています。
ハッシュ関数によるパスワード保存、定期的な変更の推奨に加え、社内アクセスもMFAを義務化。情報セキュリティ責任者が四半期ごとにリスクをレビューし、企業利用にも対応できる運用体制を整備しています。
強固なセキュリティ認証体制により、万が一パスワードが流出しても、外部からの不正アクセスを防げるでしょう。
データ保護のための暗号化技術
Canvaは、通信と保存データの両方を暗号化し、第三者の不正取得を防いでいます。
TLS 1.2以上で通信内容を暗号化し、保存データはAES-256により高水準で保護されています。データはAWSのセキュリティ対策が施された施設に保管され、可用性と復旧性にも配慮されているのです。
暗号化技術の仕組みにより、利用者は機密性の高い情報を安心して扱えるでしょう。
アクセス許可の付与
Canvaでは、チーム単位でのアクセス権限管理が可能です。
AI機能やコンテンツ共有の権限を細かく設定でき、役割に応じた制限も柔軟に対応します。CanvaのAIモデルは、許可のないデータを学習に使用しないと明示されており、設定変更も簡単です。
共有時には「特定の相手のみ」に制限し、「表示可・コメント可・編集可」から選択しましょう。こうした制御により、意図しない情報流出のリスクを防げます。
Canva AIセキュリティ対策
Canvaは、AI機能によるリスクを低減する対策を複数導入しています。
自動審査・NGワードのブロック・レポート受付体制に加え、AI出力への責任補償も用意。マジックスタジオで生成されたコンテンツに関しては、企業ユーザーに追加料金なしで免責対応されます。
Canva AIセキュリティ対策により、AI活用と法的安全性の両立が可能となっています。
コンプライアンス遵守
Canvaは、セキュリティ対策だけでなく、国際的な法令や倫理基準にも準拠しています。
2019年の情報漏えいを機に、ISO 27001認証の取得・システム改修・社内体制の見直しを実施。GDPRやDSAなどの主要規制にも対応し、贈収賄や人権侵害に関する企業倫理の取組みも明確にしています。
外部監査の継続により、透明性のある運用体制を維持しているといっても過言ではありません。
Canvaの危険性を理解し対策を講じて安全にビジネスへ活用しよう!

本記事では、Canvaの危険性や、安全に利用するための対策について解説してきました。
Canvaはクラウドベースの便利なデザインツールですが、過去には情報漏えいも発生しており、共有設定の誤りや外部アカウント連携による不正アクセスなどのリスクも存在します。そのため、適切な理解と対策が求められるでしょう。
【Canvaを安全に使うための対策】
- 強固なパスワードを設定し定期的に更新する
- 二要素認証(2FA)を有効にする
- ファイル共有時の権限設定を見直す
Canvaは、対策を講じれば企業の業務効率化に大きく貢献するツールとなります。ぜひ本記事を参考に、安全な運用体制を確立してビジネスに活用してみてください。
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